第8話


白い花びらの雪を散らした桜の木は、あっという間に葉桜にかわって。


二の腕を放り出してお客様をお見送りに行けば、まだまだ寒かったけれど。

日に日に去っていく冬の気配が、嬉しかった。





チョコとは、あれからメールを何度かやり取り。


『いま美容院。雑誌にチョコ載ってる(*^^*)』


「ありがと!近いうち会い行きます!」



どんなに遅くなってもちゃんと返ってくる返事に、らしいなぁと笑ってしまう。

話したそうだったことは、私からは聞かない。


私はただのホステスで。

彼の友達と言えるほど、うぬぼれてはいけない。






航大からは、写真のみのメール。

私は返事を、返したり返さなかったり。


彼らが心地よいと思えるほどの距離をうまく続ける。

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