第5話


今日は忙しかったけど、意外に客引きは早くて。


アフターの誘いも断れたし、葵ちゃんも連日飲まされた私を気遣ってか、ご飯に誘ってこなかった。


『お疲れ様です。また明日ね。』


お疲れ様です!と大きな声で頭を下げるボーイくんたちに、ヒラヒラと手を振りながら。お店を後にした。






タクシーの中で開いた携帯には、何本かの着信履歴とLINEの新着通知。


『申し訳ねーが、明日にしよう・・・』

思わず呟いたら、バックミラーごしに目があった運転手さんが、「今日もお疲れでしたね」と笑ってくれた。



代わりに、ラデュレの袋を覗いてみた。薄いグリーンに這う、ピンクのリボン。


甘党じゃないけど、きゅんきゅんする。



『ん?』


箱の下になってる、白いボトル・・・?


裸でゴロッと入ってたのは、ロクシタンのローズのシャワージェルだった。


なんで?

ロクシタン?ローズ?シャワージェル?


?がたくさん浮かんだけど。次の瞬間、浮かんできた、ある姿。





恐らく、慌ただしい空港の免税店でこれを手に取り。香りを確認し、販売員さんに渡して会計をし。


私への土産にと、ラデュレの袋に追加する。



『可愛いすぎ?』彼のその姿は、風貌に似合わなすぎて、笑えた。


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