第3話


緑地に金色のレース模様。

甘党女子なら、誰もがときめく甘やかな気配。



『ラデュレ!』


「今日帰国したんだよ、王子。」



ああ・・・でしたね。



「どーしても今日渡せって言われてさ。賞味期限近いらしい。笑

本人は音入れで来れないから、代わりに俺が。」



優しいなぁ、チョコ。

それだけで、ここに来ちゃうんだね。いや、来てもらっていいんだけど。

どんだけ友達思いなんだよ。



そっと受け取ると、



「感想は直接言ってやってね、渡したのか怪しまれるから」と笑った。


『どS野郎だわ、友達こき使って。ごめんね、ありがと。』


「いやいや、実は軍資金ももらってたから。笑

けど今日はやめとく、また来るよ。」




『お見送りいきます』そうキャッシャーさんに伝えて、あっさり外に出て行くチョコを慌てて追った。






『さむ!まだ寒いね~。』


「そんなカッコしてたらね。もういいから中入りなよ。」



3月は、まだまだ冬だな。

ドレスから放り出した二の腕を、自分で抱える。


外に立つボーイくんに目配せでタクシーを捕まえるよう合図して、チョコの隣に立った。

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