第2話 12時開、1時閉。

 ドアボタンのない電車に乗ったことがあるけど、雨の日とかどうしてるんだろう。後ろの人や飛び込んでくる人もいるから気をつけてボタン押さなくちゃいけない。駅員さんが確認してからドアが閉まります。


 はさまれたこともある、駆け込み乗車もある。改札で音が鳴ってカモメの声がして、駅員さんに鳴り終わるまで1分はかかるから走れば間に合うぞ、と言われたけど、走れりませんと伝えた。文化部の私たちは改札の先の待合室で時間を潰すことにした。


 開店から閉店までずっと流れていたミニクレーンゲームの音。どのシフトで入っても聞こえてたなあ。何回かだけ、開店業務に入ってあああれもこれもスイッチで動き始めるんだなあ、と当たり前のことを思った。夜中まで営業しているから消える瞬間を見ることはなかったけど。1時の閉店の時もあのスイッチでこの賑やかな音は消えるんだろう。


 12時の鐘が鳴る。時同じくしてカップ麺の蓋を開けた。湯気、この季節、メガネ族は曇る眼で蓋を開けた瞬間を見ることになる。11時57分にお湯を注げばちょうど3分なのに、どうしてもフライングして鐘の前に開けてしまう。まあちょっと早い方が好き。のびてしまうよりはいい。今日は3分ちょうどだった。シーフードが好き。


 開けたら閉めるって教わった。ドアの開け閉め、冬場はかなり気を付ける。家で喧嘩になるから。冷気が入る隙間をうめたいなあ。窓も時々開けて換気しなきゃ、いや寒いから閉めて。

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