同性婚

バブみ道日丿宮組

お題:穢された結婚 制限時間:15分

同性婚

 許嫁というのは、その名の通り親が決めた結婚相手だ。

 そこまでに至るのにいろいろあったというが、人生を決められてるかのようで嫌いだった。

 結婚相手は自分が決める。そういって家を飛び出して、2年が経過した頃相手が見つかった。

 顔はイケてるわけじゃないし、お金を持ってるわけでもない。

 それでも彼女に対して、愛がないというのは嘘になる。職場で出会えたのは奇跡にも近い。なにせ隣のブロック先で働いてるのだ。会う機会はほとんどない。

 書類を運ぶ関係でそこにいって、一目惚れして……ってという感じ。

「小さい頃から、そうかなって思ったのだけど、やっぱりそうだったのね」

 挨拶にきた結婚相手を見て、母は困惑した表情を見せた。父も何も言えない感じだった。

「はじめまして、よろしくおねがいします」

 それに臆することなく彼女は笑う。

 私がこれに惚れ抜きされたのだから、親もそうだろう。

 その証拠に和んだ空気が部屋を満たした。

「そういう愛の形もあるとはしっていたけれど、いいのね?」

「うん。これが私の愛の形なんだ」

 パクリと出されてたお菓子を手に取る。

 ほんのりと甘い和菓子。昔からおやつとして出してくれたものだ。

「女の子の友だちが多くて、一緒にお風呂に入ったり、同じ布団で寝てたのはそういう傾向があったのかしら」

「子どもの頃は普通なんじゃないかな?」

「そうはいっても、中学生よ? 思春期に入ってそれは違うんじゃないかしら」

 そういうものだろうか。

 別にあの頃から、女性が好きだったという気はない。

 あくまでも彼女が彼女であるからこそ、惹かれたというわけであって、これが男性であってもきっと変わらない。

 惚れ込んだ相手に性別は関係ない。

「この国じゃ、まだ同性婚は認められてないから、ルームシェアの相手っていう感じになる」

「そうね……そうなのよね」

 母が困った表情を見せる。

「いつか結婚できるときに、認めて欲しいの」

「今じゃなくていいの?」

「あとで文句言われないかはわからないもの」

 今は良くても未来はわからない。

 できるようになってから、ダメと言われるのはよくない。

「あなたもそれでいいの?」

「はい。世の中が許してくれないとどうしようもないです」

 控えめな彼女も素敵だった。

「あなたの親御さんはなんて」

「娘に任せるということです」

「もともと彼女の家は放任主義だから、愛の形も気にしないんだって」

 素敵だな。

 許嫁なんていた私の家と違って。

「そう……。なら、わたしたちも文句をいうつもりはないわ。ねぇお父さん」

「そう……だな」

 あまりいい表情ではなかった。

 今でも許嫁と結婚してくれたらとおそらくは思ってることだろう。

 相手を見つけるという約束をして、こうして見つけてきた。

 その相手が同性という問題はあるかもしれないが、結婚したい相手には変わりない。

「では、今日はこれで」

「じゃぁ、お母さんたち。またね」

「えぇ」


 そうして、3年後同性婚が国で認められて、私達は結婚した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

同性婚 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る