第14話
「お久しぶりですね、お父様」
「スーザン、なぜここに……」
お父様は本当に驚いているようで、かなり狼狽えていた。
お母様とベラもそれは同じだった。
彼らはすでに憲兵に取り押さえられている。
ジャレット様を柱に繋いでいた鎖は斧で外され、運ばれていった。
弱っていた彼とすれ違った時、小さな声で私に「ありがとう」と囁いた。
散々ひどい目に遭って、少しは改心したのだろうか。
悪くないことだ。
「おい、スーザン! なぜお前がここにいるんだ! 答えろ!」
「お父様、なぜこの場所が分かったのか、まだ理解していないのですか。教えてくれたのは、お父様たちですよ」
「な、なんだと!? いったい、どういうことだ?」
「仕方ありませんね、それでは説明して差し上げましょう。まず、街中に配られたビラですが、あれは私がカーティス様に頼んで街中に配ったものです。カーティス様の指示で、大勢の憲兵の方がすぐに配ってくれました」
「ああ、それで、街中の人を捜索に協力させようとしたんだろう? そんなこと、私は見抜いていたぞ」
「街中の人に協力してもらうため? 全然違いますよ?」
「え……」
お父様の顔は、傑作だった。
驚きのあまり、言葉が出ない様子だった。
まさか、あのビラが罠だとは思ってもいなかったのだろう。
「屋敷からジャレット様を連れ去った犯人は、お金が目当てだということはわかっていました。だから、あのビラを配ったのです」
「え、つまり、どういうことなんだ……」
「頭の回転が遅いですね、お父様。ジャレット様がブレスレットをつけていたというのが、そもそも嘘なのですよ」
「え……、あれが、嘘だっただと!? いったい、どういうことなんだ!」
お父様は私の言葉を聞いて、目を見開いていた。
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