第11話
(※ジャレット視点)
こんなのあんまりだ……。
口をふさいでいた布と手を拘束していたロープは外されたが、足は柱に鎖で巻き付けられている。
動けるのは五メートルほどだ。
ここから出ることはできない。
食べ物と飲み物は与えられたが、それも底を尽きそうだ。
このままずっとこんな生活が続くのだろうか……。
彼らの盗みを目撃した以上、生きて返れるとは思えない。
きっと、今までの傲慢な行いのつけが回ってきたのだろう。
これからは、街のみんなに好かれているカーティスの様になりたい。
そのために、少しずつでも自分を変える努力をするつもりだ。
しかし、人生をやり直したいところだが、人生が終わりそうになっている。
今の私にできるのは、誰かが見つけてくれる奇跡を待っていることだけだった……。
*
「ねえカーティス様、パーティがあった日、ジャレット様の部屋は荒らされていたのですよね?」
「そうだよ」
「誰かが金目の物を探していたのですよね?」
「ああ、そうだよ」
「その犯人は、ジャレット様に顔を見られたから、彼が正体を誰かに話すのを防ぐために、連れ去ったのですよね?」
「そうだろうね」
「盗みをしていたということは、ジャレット様を連れ去った犯人は、お金に困っているということですよね?」
「ああ、そういうことになるね」
「ということは、ジャレット様を見つけるのは、そう難しくはないということになりますよね?」
「そうだね。……え、そうなの? 今の話の流れで、どうしてそういうことになるんだい?」
「えっと、それはですね……、いえ、詳しい説明は後です。今は、ジャレット様を助けるのが先です。時間が経つほど、彼の生存確率は低くなります」
「そうだね、私にできることがあるなら、何でも言ってくれ」
「あ、それでは一つ、お願いしてもいいですか?」
「なんだい?」
「ビラ配りをしていただきたいのですけれど……」
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