白黒2:「…」「……」「………」「…………」

あぐ。もぐ。

「…それで?なんでまた昨日の今日で」

「やっぱり甘いものはそこまで多く無くて良いわね…」

「…ねえ」

「食べるときはそちらに専念なさい」

「あ、はい」


何か微妙に釈然としないが、まあ言ってる事は割と正しいので黙々と食を進める。


「…」もぐ。これはクロ

「……」ずるずる。これは彼女シロ

「………」もしゃもしゃ。これもクロ

「…………」そっとこっちの黄金ドーナツに手を伸ばすシロ。っておい。


「あっこら、あげないからね!」さっとその手から遠ざける。

「あ、暴了ばれちゃった。残念」

「ばれちゃった、じゃないよ~!欲しいなら自分で頼めばよかったじゃないの!」

「いや、他の人が食べてるの見てると、なんだか少し興味湧かないかしら?」

「気持ちは分かるけど~!もう…」


もぎ。

まだ手をつけてない黄金ドーナツを半分に割る。

ぱらぱらと、付着してる黄金と言うか黄色の粒が少し零れる。


「交換、そっちも半分よこして」

「等価交換ね、世の摂理だわ」

「ドーナツで語られる世界の真理…」

「世の事象は大体縮図ってことに出来るわよ」

「適当だなぁ」


もぎ。「はい、どうぞ?」

シロも白銀ドーナツを半分にして渡しあう。

ゆうて僕はそこまで白銀ドーナツ、好きじゃないのだが。


(ま、これくらいなら安いもんさ)

あぐ。もらった白銀ドーナツを口に詰め込む。

白銀ドーナツ、普通に美味しくて甘味は良いのだが個人的にはシナモンが効いてるのがちょっとだけ苦手めな所なのだ。


「…」もぐもぐ。白銀を食べるクロ

「……」もぐ。貰った黄金を食べる彼女シロ

「………」もぐり、サクッと白銀を食べ終わるクロ


「…………これ、甘ったるいわね」無表情だか、宝石こころは雄弁な彼女シロ

「僕はそれくらいでちょうど良いの」ずるり。僕はラーメンに着手。

「お茶も頼めば良かったかしら…」もぐり、もぐり。ちまちま食べていく彼女シロ

「もー、ごちそうさま」ずるー。食べ終わるクロ

「あっ、なんかずるいわ」

「何がさ…」


もしゃもしゃ。

そのまま、僕は少しの間無言で。

シロがドーナツとラーメンを食べ終わるのを見ていたのだった。


…シロは少し不満そうだったけど、許してほしい。

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