百十一話 どこから来た?
「……あれは、スケルトン、か?」
「リッチもいますね」
骨にズタボロの服を着て武器や杖を持つモンスター、スケルトン。
基本的にはランクがEのモンスターだが、死体からリッチに変わった場合……その強さは生前の強さに比例する。
「見た感じ、ダンジョンから溢れたスケルトン……じゃ、ないよな」
「そうですね。ダンジョンで生まれたスケルトンは基本的に服を着ていません。ですが……」
「目の前にスケルトンたちはどっからどう見ても、服を着てるな」
自分たちの前に現れたスケルトンについて考察していると、一体のリッチがウォーターボールを放った。
「はっ!!!」
放たれたウォーターボールに対し、女性魔法使いが即座に魔力の弾丸で相殺。
「もしかしたら、このスケルトンたちは元盗賊かもしれないっすね」
「なるほど……それなら、ボロボロの服を着てるのも納得だな」
ただ、アラッドには一つ疑問があった。
その疑問はアラッドだけではなく、護衛の三人も同じことを考えていた。
しかし相手はこれ以上様子見をすることはなく、アラッドたちを襲い始めた。
「考えるのは後だな。全員で仕留める」
「「「はっ!!」」」
現れたスケルトンの数が二体や三体程度であれば、アラッド一人……もしくはアラッドとクロだけで十分。
だが……アラッドたちの前に現れたスケルトンにリッチの数は数十体を越えている。
そして生前が盗賊であり、それなりに戦闘経験をこなしてきた盗賊の力が反映されており、純粋なスケルトンは少ない。
多くのスケルトンがナイト、ウォーリアー、アーチャーなどの上位種。
スケルトンはEランクだが、その上位種になればランクは一つ上のDランクとなる。
(やっぱり、ただのスケルトンじゃない、か!!)
四方八方からロングソードが、斧が、矢が飛んでくる。
ただ、やや動きがぎこちない。
「せいッ!!!」
振り下ろされる斬撃を半身になって躱し、腕に蹴りを入れてバキッと折ってしまう。
「おっと、骨だけだからそりゃそうか」
片腕が折られようとも関係無く、残った腕で殴り掛かるスケルトンナイト。
(徹底的に破壊しないと駄目だなこりゃ)
幸いにも、アラッドの速さがあれば四方八方から来る攻撃にも対応出来る。
元が盗賊なだけあってスキルによる攻撃や魔法を放ち、体に魔力を纏って身体能力を上げてくるが、全員が対処可能。
「ふっ!!!」
真面目な好青年兵士は首、腹、腰を一瞬で三分断してしまい、スケルトンウォーリアーを蹴散らす。
「おらおらおらっ!!!!」
一見軽い雰囲気を持つチャラ男に思われがちな兵士はバスターソードで雑魚を蹴散らし、リッチの魔法を吹き飛ばす。
そしてそのまま一刀両断。
「はっ!!!!」
女性魔法使いも二人に負けじと攻撃魔法を前衛で戦う者たちの動きに合わせ、弾や槍に鎖といった形状を使い分ける。
(父さんに仕えている兵士や魔法使いなだけあって、こういった状況でも頼りになるな)
事前に話すことなくフォーメーションを組み、スケルトンやその上位種。リッチを次々に倒していく。
アラッドとクロは相変わらずとんでもない速さで倒していくが、三人の討伐数も負けてない。
(もう結構倒したな。雑魚のスケルトンは全滅……上位種のナイトやアーチャーにリッチの数は少ない)
遠距離攻撃をメインで戦うスケルトンアーチャーやリッチは集団戦において厄介相手だが、バスターソードを扱う若干チャラチャラしてる兵士がどんな攻撃も弾き飛ばし、猪突猛進の勢いで詰め寄って断絶。
クロは長所である脚の速さを活かしてササっと攻撃を躱し、魔力を纏った爪で綺麗に切断していく。
全員が活き活きと動き、集団戦は遂に終盤を迎える。
だが、最後の最後に厄介な二体が残っていた。
「アラッド様、どうやら真打登場といったところかもしれません」
「そうみたいだな……負けるつもりは一切ないけどな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます