十四話 次は二日後かな

スライムを倒した後、ボアやゴブリンなどの低ランクのモンスターを倒し、その日の討伐は終わった。


「ふぅ~~~、楽しかった。ただ、ちょっと物足りなかったな」


「アラッド様が超強かったんすよ。ボアもゴブリンも楽勝でしたし」


ボアというイノシシのモンスターはストリングショット、糸の弾丸で目から脳を貫いて討伐。

そしてゴブリンはホーンラビットの時と同じく、スレッドサークルで瞬殺。


ゴブリン一体だけではなく、複数体いたので初の真剣を使って戦闘。

身体強化のスキルを使い、脚と刃に魔力を纏って戦い……アラッドが思っていたよりもあっさりと戦闘は終った。


「真剣を使った接近戦も流石の一言でした」


「そうか? そう言ってくれるのは嬉しいが……結構あっさりと終わったからな」


「アラッド様の身体強化の練度、そして体や武器に纏う魔力の質が良かったのと、先にホーンラビットやスライムを倒したおかげで、若干ですがレベルが上昇しているかと」


この世界にはドラ〇エと同じく、レベルというものが存在する。

モンスター、もしくは人を殺せば経験値が入り、殺した本人のレベルが上がる。


レベルが上がることで体力や魔力が完全回復することはないが、魔力の総量や身体能力が上昇する。

これがますますドラングとアラッドの差が広がる要因となる。


「……本当だ。レベル三になっている」


レベルが上昇した、それは非常に嬉しいこと。

だが、急激に身体能力が上がればそれに頼った戦い方になってしまわないか心配になる。


(明日はいつも通り訓練にあてよう。そして翌日にはまたモンスターの討伐だな)


「アラッド様、今回の探索で倒したモンスターの素材や魔石はどうしますか? 私たちがギルドで冒険者として登録すれば素材を売ることができますが」


アラッドが倒したモンスターの素材と魔石は中の容量が錬金術によって拡張されているアイテムバッグの中に全て入っている。


兵士が冒険者ギルドに登録することも可能なので、問題無く売れる。


「……そうだな。特に必要じゃないから売ってしまおう」


街に入ると屋敷に戻る前に寄り道をし、冒険者ギルドでモッチが事情を説明して登録してから素材と魔石を売却した。


(錬金術には興味があるけど、まだ技術と知識も足りないからな)


魔石は錬金術で何かを作る際に、素材として使用できる。

だが、今のアラッドは錬金術のスキルを習得しておらず、持っていてもあまり意味がない。


「アラッド様、これが今回の金額っす」


全部で銀貨が十枚と銅貨六十枚という結果になった。


この世界の貨幣は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒曜金貨、という順になっている。


「銀貨が十枚と銅貨が六十枚か……妥当といえば妥当なのか」


「討伐の依頼を受けてればもっと貰えたんすけどね」


「だろうな……まぁ、俺が冒険者になるのはもっと先の話だ」


今は実際にモンスターを倒し、お金を手に入れたことで大きな達成感を得ていた。


「アラッド様、次はいつモンスターを倒しに行こうとか決めてるんすか?」


「二日後にはまた向かう予定だ」


「えっ……さ、さすがに早過ぎると思うっすけど」


「いや、特に問題はない。勉強に関しては……ダンス以外は特に問題無いからな。明日一日は訓練にあてて、二日後はもう一度森の中に入る。あまり奥に進むつもりはないから、お前らがいれば特に問題無いだろ」


「まぁ、それはそうっすね」


モッチ、ノーラス、ユーナがいればCランクのモンスターが現れても倒せる。


モンスターのランクはF、E、D、C、B、A、Sと別れている。

Cランクのモンスターともなれば、プロと呼べる冒険者でなければ倒せない様な力を持つ。


そんなモンスターが現れたとしても、三人並みの実力を持つ者がアラッドの傍にいればモンスター討伐は問題無く進む。


「折角良いスキルを手に入れたんだ。剣技も体技も……魔法もきっちり実戦で使って練度を上げていかないとな」


好戦的な笑みを浮かべるアラッドを見て三人は思ってしまった。


「あぁ……もう絶対にドラング様がアラッド様に勝つことはできない」と、全く同じ考えが頭の中に浮かんだ。


三人は決してそれを口に出さないと決めた。

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