第93話
「ええ。スーパーなどの入り口に車いすが置いてあるのを見たことがないですか?手すりのないところや長距離を歩くときには車いすを利用するけれど、家の中ではできるだけ車いすに頼らずに生活し、衰えないようにしているというか……手すりがあれば歩けるという人も多いんですよ。後々は完全に車いすになるかもしれないけれど、動けるうちは……というような」
「なるほど……それは思いつかなかったな。ホテルの何室か手すりつきにしてもいいかもしれないね……いや、何室かと言わずにフロアごとの方がいいだろうか……女性専用フロアや男性専用フロアのように手すり付きフロアなど、フロアごとに特色を持たせてもいいのかもしれないな……うーん、持ち帰って検討してみるか」
「そういえば、最近は個性的なホテルも増えてますよね。アニメとかとコラボした部屋のあるホテルとかもありますよね」
「アニメ……あ、はい、そう、ですね……。コラボ、ええ」
社長の目が泳ぐ。
あれ?知らない?……わけないよね。仮面ライドとかプリチュアとかリゾートホテルでコラボしてたりしてるよね?そういえば、EGだっけなんとかホテルで、常に何かのアニメとコラボしてる部屋が用意されてるとこがあって、優斗が言ってたっけ。
あれは、中学校卒業のお祝いにどこか旅行に行こうか?と声をかけた時に「じゃぁ、ここに行きたい!」ってホームページ見せられたんだよね。キャラクターの等身大パネルが並んでいたり、宿泊者に非売品グッズがもらえたりとか……。声優さんのサインがもらえるとかも書いてあったような……。
結局旅行よりPCとか物にお金が消えたけれど……。まぁおかげで今のVtuverで楽しんでいる……親子で楽しめてるので、旅行には行けなかったけれど、よかったよね。うん、うん。
「何か、気になる物は見つかりましたか?」
店員さんに声をかけられ、社長の袖を引っ張った。
セクハラじゃないと後で断らなければ。社長の驚いた顔を見て心の中でつぶやく。
「えっと、パンフレットをいただいてもいいですか。あの、また相談して決めます」
と、社長の前に出て店員さんに笑いかけた。
「ええ、どうぞ。また分からないことがあれば遠慮なくお尋ねください」
パンフレットをいくつか受け取り、社長とベビーカー売り場を後にする。
それから、ベビーベッドなど簡単に見てから、1階へと降りるエレベーターの中で社長に頭を下げる。
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