第24話 解説
『いいか? 今まで要石を通じて抜き取られていたのは季節じゃない。季節という要素を含んだ属性だったんだ』
「…………」
屋敷の門前に一人立つ武の右手には抜き身の日本刀が、左手には指の間に白い人型の紙――式神が挟まれ、携帯電話が握られている。
六花、愛音はこの場にいない。彼女達には女の使う雷に対抗できないからだ。光速で迫る雷撃を防ぐ
『
「属性と方角にも関係が有るの?」
『ああ。金は秋の象徴にして西、水は冬の象徴にして北、木は春の象徴にして東に
「うん、何とか……」
金、水、木の属性を屋敷から引き剥がす事で、屋敷は残された火と土の属性を持つようになる。そこまでは武にも理解できた。
『
「じゃあ、もしかしてあの鬼が使った風や雷は……」
『木気の力だ。水が奪われて金と木が繋がった今、鬼の力も上がっているだろう』
想像する。人を簡単に吹き飛ばす
『だが、この事件は鬼の力を引き上げるのが目的じゃない。お前の屋敷の結界を破壊するのが真の狙いだ』
「……どうやって? 命さんの張った結界がそう簡単に破られるとは思えないけど」
『
中央が土で、金が水を、水は木を強化し、木は土に
『そうそう、言い忘れてた』
「……何を?」
『鬼は大分弱ってる。山にかけられた
「それって手負いの獣を相手にするってこと?」
『そうとも言うな』
危険度が更に増した。はたして会話でどれくらい時間稼ぎができるか、全てはそこにかかっている。
『屋敷の結界が破れたらどうなるかは知ってるな?』
「……町を覆う結界が連鎖して壊れる」
『そうだ。そうなれば神木町の中でも銃火器が使用できるようになる。長から聞いた話だが、今町の外には武装した人間が数十人控えているそうだ』
武は強く日本刀を握り締める。今や結界はこの町の生命線だ。是が非でも守り通さねばならなくなった。
『今、屋敷の周りは命さんが昨日一日かけて
「え?」
屋敷の門から一歩踏み出す。瞬間、景色が一変した。周囲は木々が深く
「どうするの? これだと鬼がやって来るのを待つしかないよ?」
『問題ない。鬼の背中には黒の式神を貼り付けた。白い式神は持っているか?』
「うん」
『そいつが鬼のいる場所へ案内してくれるはずだ。足止め、頼んだぞ』
びくりと左手の指の間で白い紙――式神が動いた。同時に樹との通話が切れる。
携帯電話を門の郵便受けに入れると、武は手に持った式神が引っ張る方向に向かって一歩踏み出した。
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