第1章 ③カイト、ニューヨークへ
ママの話してくれたニューヨークの話は、ぼくの世界からは、はるかに遠い、輝いた世界に思えた。
心が震えるような感覚で、そこにどうしても行ってみたい思いが芽生えた。
「ママ、ぼく、ニューヨークにものすごく行ってみたい!!おばさんにも会ってみたい!」
「そっか、カイトそう思う?
ママは、ニューヨークから日本に帰ってきてから、あの世界に戻ることは2度とないと思って、その部分の記憶を消したわけではないけど、見てなかった。
実際、なんだか、大事なこと忘れてしまった気がしてならないんだけど、、、、
カイトが行ってみたい!って言ってくれて、ものすごく嬉しい。
そうだ!
ニューイヤー前のニューヨークに行って、あのキラキラっのニューイヤーイブを絶対見せてあげたい!カイトに。
今は治安も、良くなったって、お姉さんも言ってたわ。
お父さんに相談して、思い切って今年の冬休みは、ニューヨークに行こうか。」
「えっ、本当!!すごい!」
僕はその日から、ワクワクして、ニューヨークのことをネットで調べたり、youtuberの動画で、ニューヨークを検索してみたり、毎日、寝ても覚めても、ニューヨークのことで頭がいっぱいになった。
真夜中でも昼間みたいに明るいタイムズスクエア。
4Kビジョンでは、24時間、有名なミュージカルのCMが流れ、たくさんの人が行き交う。
街の真ん中にあるロックフェラーセンター前ではスケートを楽しむ大人のカップルやファミリーが集い、まるで映画のシーン。
大都会の一番のシンボルは、バカでかい、セントラルパーク。
時間問わず、色々な人がジョギングしたり、散歩したりしている。
たくさんのギャラリーやショップが立ち並んでいるオシャレなエリアもあれば、巨大な教会も街の真ん中にある。
ブロードウェイのミュージカル、オフブロードウェイ、オフオフブロードウェイまであるけど、どんな違いがあるんだろう。
ワクワクが止まらない僕は、まだ蒸し暑さの残る京都の9月なのに、12月真冬のニューヨークのことばかりイメージしていた。
そして、あっという間にニューヨークに発つ日がやってきた。
2019年12月21日、冬休みの初日に、僕たち家族は、関西空港から、飛び立った。
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