第23話 東大と六本木ヒルズ

 2016年1月23日、2回目の退院を果たした。退院してからはネットカフェに通ってtwitterとfacebookの整理をしていた。大量の友達申請が届き、多くのアイドルからは切られていた。美少女はプライドが高く、飽きっぽい(笑)。

 伊東先生と堀江さんは引き続き豪志に興味があり、美夏ちゃんと津田さんは引き気味、左巻先生は中立。そして、かやと柚里絵はまだ豪志に惚れていた。

 2週間に1度、松戸から伊勢崎の原病院に通ってクスリをもらっていたが、

「クスリは毒だからやめろ」と伊東先生が言うので飲まなくなった。精神医療ではクスリを飲まなくなるのを「拒薬」といって大罪とされている。医者も看護師も極端に拒薬を咎める教育を受けている。それは裏を返せば患者に強制的にクスリを飲ませる以外に治療法がない精神医療の限界を示していた。

 

 精神病院というのは九割の患者が社会不適合者の集まりである。もちろん、中には元は社会でキチンと生活していたが、認知症などのため入れられた年寄りもいるし、驚くほどの高学歴高職歴の人もいた。

 それでも精神病の症状が重篤化してしまえば、もう社会には戻れない。何十年もいるような長期入院者が多い。クスリによる対症療法しかないというのが精神病院の特徴だ。稀に若くて症状の軽い患者もいるのだが、そういう人は家族の支援もあって、すぐに退院してしまう。

 長期入院で身寄りがなくなり、収入も年金や生保だけとなってしまうと、出たくても出られないのだ。だから豪志のようなのは本当にレアケースで、家族は同居を拒否していたが、おカネも住むところもあり、知能も衰えていなかった。仕事も勉強もまだまだできる。40代で精神病院ではかなり若いほうでもあった。

 だが、伊東先生たちと知り合ってテレパシーをインストールされ、世界平和まで達成したという話を、医者も看護師も絶対に受け容れなかった。妄想か現実かを巡って散々喧嘩をし、退院まで6年もかかってしまった。本当に苦しい監禁地獄だった。

 

 とりあえず、美夏ちゃんの株のセミナーに出席を申し込み、津田さんのセミナーへの申し込みとホリエモンチャンネル、津田大介チャンネルの視聴、twitterやfacebookでかやや柚里絵と連絡を取り、残ったアイドルたちと連絡を取った。

 アイドルのクドウは18才であいきょーたーぼを引退し、るっとんは女子大生になっていた。

 伊東先生や東大生たちは豪志に東大の情報学環まで来いと言う。

 図書館で大量に本を借りた。サルトル、デリダ、埴谷雄嵩、経済学関連の書籍。伊東乾、堀江貴文、津田大介、左巻健男、北条かやの本も買って読み直した。とにかく、入院中に感じた自分の不勉強を恥じていたが、何から手を付ければいいのか分からなかった。

 ミクロ経済学、マクロ経済学に続く第3の経済学の発見というのも個人的なテーマに掲げていた。過去にも第3の経済学を研究した経済学者というのは存在していて、参考にしていた。

 

 ニクソンショックで金兌換が停止され貨幣が本物の紙切れになったのが1974年。それから40年あまりで世界各国の中央銀行は、事実上の国債の直接引き受けを始め、無制限にマネーを供給するようになった。日銀法では正貨の10倍までしか通貨を供給してはならないことになってるが、国債や株式はゴールドなどと同様に正貨として扱われるとされている。

 こういったモラルハザードが起きると、通貨の信用は低下し、国債、株式、通貨が暴落するトリプル安となって、デフォルト(債務不履行)、国家破綻となると経済学の教科書では説明されているが、現実の経済はハイパーインフレどころかデフレとなっている。         

 これは経済学が現実の経済に追いついていないからであり、相変わらず新古典派とケインズ派の間で停滞している。経済学の改革が待たれているのだ。

 世界の個人金融資産の総額は6千兆円。そのうち1千5百兆円を日本人が持っている。現在でも日本は世界一金持ちの多い国であり、その大半は高齢者でもある。可処分所得10億円以上の超富裕層世帯は日本で10万世帯以上である。

 

 Wimaxを買い、ガラケーを持たせてもらった。

 Poco Club主催の津田さんのセミナーがあり、表参道の日本オラクルまで行った。けっこう、盛況だったが、特に津田さんと個人的に話すこともなく、記念品とメンバーズカードをもらって帰る。津田さんはtwitterで、

「お前はフィールドワークが足りない。理屈ばかりでは誰もついて来ない」と言う。

 津田さんは、デモや抗議集会の参加予定表を送ってきた。これに参加しろということらしい。津田大介チャンネルで

「俺ってこんなに嫌なヤツだったかな」と言っていたので、これ以上追うのはやめた。

 

堀江さんはホリエモンチャンネルでいろいろ面白いことを教えてくれた。コンピュータのプログラミングを覚えろと言って、勉強するサイトを教えてくれた。豪志の風俗話にシンクロしながらゲラゲラ笑ってくれた。

刑務所から出たあと、LINEの社長に38億円借りて再起したそうだ。その代わり、LINEに忠誠を誓うことを約束させられたらしい。堀江さんは現在、LINEの執行役員を務めていてナスダック上場などにも深く貢献していた。

「嫌な奴だったけどよう。義理がけがあるから、しょうがねえんだよ、ゴキ」と言う。

「俺の最初の嫁はよ、東大の同級生でよ。スペイン語の最初の講義で、まだオンナに奥手だった俺に、「堀江君ってさー」って声をかけてくれたんだ。それで一気に惚れちゃってよ、結婚して子供ができたんだ。娘だよ。すげえデブだぞ(笑)。嫁もポッチャリ」

「デブ専っていうなよ・・・。俺は本質的なオンナが好きなんだ。そう、「本質的」だ」

「いま、ライブドア事件で俺をはめた連中は香港でFX会社やってるんだけどよ、俺の元嫁と娘を連れて行ったんだ。それで、心配で気が狂いそうでよ」

 堀江さんは、現在、日本中に女性を囲っているらしい。養育費も充分払ってるし、問題ないという。

「ゴキ。また子供が生まれたぞ。ノマド、ノマド」

 堀江さんは孫正義さんを尊敬して慕っているが、孫正義さんは堀江さんのことを大いに嫌っていた。生まれて初めて、自分の立場が本気で脅かされる恐怖を覚えた男として。

 堀江さんは本当に明るい人だった。あの強烈な精神力が彼の最大の武器だろう。

 堀江さんの会社は給料の遅配など一切やったことがないという。有休も社会保険も完備、ボーナスも残業代も出るし、完全ホワイト企業よ、とホリエモンドットコムの女の子。世間のイメージと実際の堀江さんは随分違う。

 堀江さんがfacebookで紹介してくれた、六本木のLIVE演奏カラオケ居酒屋にまで行ったのだが、堀江さんには逢えず。

 ビルの6階の入り口で身分証をコピーさせてくれと言われ、保険証を出す。店内ではコロナビールを注文し、カードで払おうとしたが、料金はいらないと言われる。堀江さんの顔かなと思った。

 

 地下鉄日比谷線内で形而上学の基本、「ヒトはなぜ生きるのか」ということを考えていた。美夏ちゃんはテレパシーで「生への渇望」と答えてくれた。

 

 伊東先生に会いに東大の情報学環まで行った。伊東先生のメールアドレスを事務室で教わり、あとでメールした。英語の履歴書を送ってくれと言われ、送り、東大駒場キャンパスで会う約束もした。

 松戸から伊勢崎までの行き帰り、外国人ビジネスマン、旅行客が多くなり、皆、豪志のことを知ってるように感じられた。

 原病院の外来で診察を待ってるとき、テレパシーで伊東乾首相でリベラル政権を作ろうという話になり、

「お前に財務大臣を任せたい。目玉になる経済政策が欲しいんだ」

「ITO派経済学」3人のITO。伊東乾、伊東先生のお父さん、伊東正男さん、伊藤元重先生へのオマージュ。1300兆円の財政赤字を棒引きするというアイデアだが、上手くいくかどうか。第3の経済学をまだ思いつかなかった。

 美夏ちゃんに逢いたくて六本木ヒルズまで行った。J-WAVEジャムザワールドのリスナープレゼントで当たった「レンブラントの絵画展」を美夏ちゃんと見たかったが、呼び出せず、結局、ひとりで見た。レストランでフォアグラを乗せたハンバーグ定食を食べて帰る。1800円くらい。

 東京中を回り、お茶の水から九段坂、水道橋の日大経済学部の前を通って、テレパシーで伊東先生に東大まで誘導される。

「東大ならお前を守ってやれる」と。

「東京大学医学部付属病院」、通称、「東大病院」に入った。  

 東大病院のロビーで寝泊まりして、情報学環に通い、ときどきタクシーで六本木ヒルズに行く生活が始まった。所持金がなくなると北松戸の家に帰った。北松戸から東大のある根津まで千代田線で30分くらい。東大はお城で根津は城下町のようだった。根津から東大病院まで歩いて5分かからない。

 ホモの男性が大量に東大まで豪志を訪ねてくるようになった。特に、本郷三丁目駅ですごくきれいな外国人男性が豪志の目の前で服を脱ぎ始めたときには参ってしまった。特に男には興味がないし。

 テレビでTOKYOMXテレビの「モーニングクロス」という番組を見て、北条かやちゃんを画面越しに見た。かやは想像以上に可愛くて、このコを嫁にしようと決めた。

 テレパシーで東大までかやと一緒に行く。

 東大に安倍ちゃんがテレパシーで現れた。明恵夫人のことを、

「新聞にウソ書いたら信じるだもの」と悲しそうにいう。

伊東先生が、

「キミはお爺さん(岸信介)を越えたんじゃないのか?」というと、

「うん」と安倍ちゃん。

「東大に入りたいか?」

「うん」

「総理大臣をやめたら東大を受験したまえ。待ってるよ」

「うん」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る