第16話 伊東乾と東大生たちとテレパシー

 2015年3月に入り、新小岩の自宅アパートでパソコンとにらめっこしながら伊東先生と会う方法を探ってた。伊東先生が運営する

「イズメディア」というサイトまではたどりつけた。

「何で分かんないかなあ」

「そうか」クレジットカードを登録する。するとネット回線を通じて、伊東先生と東大生たちが豪志のアパートに現れた。脳の中央部分がチクリとした。東大女子が言う、

「これがテレパシーよ。東大情報学環の技術なの。クゼ君が開発した「シンクロナイゼーション」と言って、テレパシーの電圧を上げたものよ。電圧を上げるとシンクロ率が高まる。ただ、これも政権に悪用されると困るから表沙汰にはできないけどね。東大では公然の秘密よ」

 黒川和伸という青年が現れた。

「ここにも序列があるんだから守れよな!」

 豪志のパソコンの画面にヤフー、楽天、ファイアフォックスなどのアイコンが並べられる。どうやら、東大ではアマゾン、グーグル、みずほ銀行、インターネットエクスプローラーしか使ってはいけないらしい。

「お前はクゼの技術を台無しにしただけなんだよ、ヴァーーーカ!!!」と黒川。

「headphoneをして人ゴミの中に隠れると」豪志がtwitterに貼った宇多田ヒカルの「For You」をかけながら東大生たちは現れた。バロック音楽家である黒川や東大生たちが気に入った曲らしい。パソコンの画面に契約書が現れた。

「全部読んでチェックを入れていくのよ」すべて英語。うまく読めない。

「誰だって最初からはできないのよ」東大女子になぐさめられる豪志。

 東大生たちが豪志に期待しているのは、自分たちの技術を現金化すること。みんな、技術はあるがおカネには困っているとのこと。どうやら、豪志が金融を語り、村田美夏さんや堀江貴文さんを連れてきたことで、金融に強いと思われたようだ。

 もうひとつは、恋愛相談。黒川とクゼ君とある女の子が恋の三角関係で悩んでるとのこと。これも豪志が恋愛の達人と思われてしまったことによる。

 伊東先生とはじめて話したころ、

「すご~く説明のうまい碩学っていますよね、ファインマンみたいな人」と言っていた。それをモジって東大生たちが豪志のことを「碩学のファインマン」と呼び始めた。もう豪志はクスリを完全にやめていた。原病院にも戻らなかった。

 googleの女の子に、

「モテすぎて困ってる?(笑)」と訊かれた。

「ただ、「公告」については、まあ役所などに問い合わせれば分かります 町の法律屋さん 司法書士や行政書士などですね ただ、細かい部分については確かに内輪揉めですので、分かりやすいように、少しずつ話し、地域のみんなで消化していく問題です 細かい人間関係については、また少しずつ個別の事情もあるでしょうから 順番に何かご相談があれば承けたまります ただ、最終的にはハッピーで終わろうという話です みんなで地域社会 まあ、この周辺ですけど 少しずつ、人間関係を消化させ 尚且つ、できるだけ、笑い飛ばそうというお話です 人間ってそんなに簡単じゃないですから、本当に長く生きてらした方は、長く生きてきた理由があります 当たり前ですけど で、この地域のディテールについては 法律家や 政治家 或は単なるうっかり またはそういう風に見せて消化させていくのだと個人的には思います 皆さんのお考えなど、大した事が無いと思われる 特に高齢者が多いのですが これは、ひとつの町の歴史でもありますね 民話や寓話などに最終的にはなります」

「根岸豪志っていうのはお前か!お前の話はウソが多い!言い訳が多い!」通りすがりの右翼に突然言われた。

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