医局に逆らうと人生こうなります。

@tokyonishiakitani

第1話

大学医局という存在を、医師以外の方がどれだけ知っているのでしょうか。もしかしたら、テレビドラマでたびたび取り上げられている世界でもあるので、なんとなく知っているという方もいるかもしれません。


そんな大学医局に逆らったらどうなると思いますか?


医局制度、とくに医局人事に逆らうと、医師人生は終わったも同然と言ってもいいでしょう。医局制度のトップにいるのが教授です。教授は医師の研修先を医局長の意見を踏まえて、誰をどこに送るかを決めています。そのため、医局員としては、その決定に従うほかはありません。極端な話をすると、「どうしてですか?」と疑問に思っても口にしてはいけないのです。


私自身も、医局人事に従わないのであれば、医局に所属する意味すらないと思っています。そして「専門医」の資格を取るまでは、最低でも医局に所属すべきだとも思っています。


大学医局には、様々な方がいます。人脈を広げたり、学習をしたりするだけでも市中病院での研修は、研修すること以上のメリットがあると言ってもいいでしょう。また、大学医局員が派遣されることによって、地方医療が成立している背景もあるため、好意的に受け入れてくれます。


現在、医局制度は崩壊していますが、以前は絶大な力を持っていました。例えば医局人事に逆らえば、昨日まで普通に会話をしていたはずの医局員から無視をされたり、教授からの破門状が周囲の病院にばらまかれ、病院にいづらくなるというのはよく聞く話でした。そしてそれは私も他人ごとではありません。


私の場合は医局人事ではなく、勉強をもっとしたいと思ったため国内留学をしたのですが、それが教授の逆鱗に触れ、医局から除籍処分を食らったのです。そうなると、専門医取得のために必要な5年研修のうち2年がなかったことになり、教授が「彼はうちの大学とは一切関係のない人間だ」という電話を、各病院にしたため、私はバイトとして働いていたいくつかの勤務先でクビになりました。それは、次に所属をした大学医局の教授に拾っていただくまで続き、勝手なことをするとこうなるという見せしめだったのだと思います。


ただ医局制度はトップになれば安泰なのかと言えばそうではない面もあります。医局員の不祥事が発覚すると、教授であっても紙切れ一枚で分院に飛ばされたり、解雇されてしまうこともあるからです。他の業種でも同じかもしれませんが、医局員にとっては身の毛もよだつ怖い話です。

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