12/17 遠藤↔吉岡

「吉岡、高橋の具合は?」


『まだ起きない』


「そう……」


『俺が悪かったんだ、あの時無理矢理ドアを開けるためにピッキングをしようとしなければ、高橋は窓から飛び降りようなんて思わなかったはずだ』


「自分を責めるのは早いわ。予想できなかったことだもの」


『でも、追い込んでしまったのは俺なんだ』


「吉岡……」


『待』


「どうしたの?」




『すまん、返信が遅れた。高橋が目を覚ました』


「ホント!?」


『ああ、そして驚かずに聞いてほしいんだが、どうにも高橋は記憶を失っているらしい』


「き、記憶喪失!?」


『俺のことも覚えてないみたいだし、自分が誰なのかも分かってないみたいだ。「どなたですか?」なんて聞かれてしまった……』


「──それで、吉岡はなんて返したの?」


『いやその、少しだけ、少しだけ魔が差したんだ。悪いとは思っていたんだ』


『でも、つい、「付き合ってるんだ」と』


「吉岡……!」


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