第7話 星屑の空の彼方へ
拝啓
冷たい風が街路樹を駆け抜けて、ビルの群衆をすり抜ける光景が当たり前のような季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私と言えば、日に日に白くなっていく髪を眺め、薬による精神コントロールをまじまじと見つめながら、心のエナジーを貯蓄しています。
そう言えばある日の事、喉を震わせながら一匹の野良猫が砕けたアスファルトに噛みつき、またある日は、目の前を飛び回る蝶々に狙いを定めて、キャッチしてはそれを食す光景に出会いました。彼も生き残るのに必死なのでしょう。
季節は服を着替えて、空は低くなり、星座はすっかり冬模様です。私はこの侘しい世界で何を感じて、何を消化して生きているのか、全く分かりません。いつか歩いてきた道を振り返り、後悔に押しつぶされる日が来るのでしょうか。
星屑は今日も曇天の空の彼方で、キラキラと煌めきを忘れず、輝いているのでしょうか。寒空は空気を凛とさせて、人々の心の隙間に潤いを与えるならば、それはそれは幸せな事でしょう。
懐かしい声が脳内を支配して、半透明の涙が浮かび上がるまで、私は生きていこうと思います。
これからが本番です。どうかどうか、その無垢な想いを忘れずにお過ごしください。
ではまた。
敬具
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