第5話古き私へ

拝啓


毎日毎日毎日同じ詩を書き続ける日々をお過ごしでしょうか?

私も相変わらず、詩に噛みつかれては噛み返す日常です。


近頃は寝耳に水の話ばかりで、少々面食らっていますが、何それも風が一直線に吹き抜けるように、全てを台無しにしていきます。それが世の中の仕組みなのでしょうね。


そう言えば、先日面白い話を聞きました。なんでも、三町目の交差点に置かれた植物細胞が、事もあろうか笑いが止まらなくなったそうです。ここまでくると、世は末なのでしょうね。


こうして便箋を埋めているのですが、やりきれない顔をされるより、全然苦ではありません。それが生き甲斐でもあります。


最後に申し上げたいのは、さりげなく去っていく笑顔は儚く、そして寂しいという事です。あれだけ人々に勇気と希望を与えていたのに、全てが台無しです。やはり、そう簡単に正義なんて口にするべき事ではないと言う事なのでしょうか?


ようやく季節は春を迎えそうです。

体には気を付けて。


敬具

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