さよなら、君たちの妄想を元に作り上げられたわたしよ

荒川 麻衣

さよなら、わたし。

私は彼らを理解しようとした。

誹謗中傷してきて、他人の気持ちになりかわり、乗り切り、小説を書いた。

描いて描いて描いて描きまくってけれども、世の中の人はこう言う。

「相手の気持ちになって考えましょう」


普通に過ごしてきた人たちの感情を、どうして、普通ではない家族を持ち、何年も普通の女の子として過ごした経験がほとんどない私が、どうして、表舞台に立ったことのない、いわゆる観客、群衆とも言う、有象無象の心情を想像できると思っているのだろうか。


あいつらは言う。

「表舞台に立てない人間もいる」


無傷で。何もなく、何ごともなく、トラブルもなく、ファンが常にいて、キラキラできるほど、芸能界は甘くない。ローカルの一部の世界でしか知名度がない人間でも、田舎の娯楽がない、暇な男尊女卑な人々は、踊るのは娼婦、芸能人は遊んでる、好き勝手にかっこでくくって、偶像を作り上げ、私ではない誰かの話をずっとしている。


よく飽きないな。お前ら。人間か、お前ら。


名前の知らない、得体もしれない、どこの誰かも知らない人間が、私の噂を知っていて、勝手に、私の恋愛歴と初彼を噂して、知らないうちに経歴と、恋愛遍歴が創り上げられていく。


祭り上げられ、みこしに乗ったら最後、いけにえが足らないと、手近にある人間で、やしろを建てようとする。


人身御供(ひとみごくう)になんの根拠もないのに、それでも、彼らはまるで、交代で、三交代制なのか、来る日もくる日も同じ質問をぶつけられ、やがて精神に変調をきたし、壊れた心は永遠に戻らない。14歳で壊れ、社会的に死んでも、人生はずっとつづくし、社会的に死んでからも、生計は立てる必要にせまられ、逃げるように東京に消えたら、東京の芸能界では、いや、有名になることも表舞台に立つことも全てダメになり、いつの間にか、日本人が発する言葉がダメになり、中韓の留学生の、何言っているかわからないこそ、会話に加わらなくて済む、バイトの夕食時間が楽しみだった。


リーマンショックで一気に仕事がなくなり、時給が半分以下になった時、「終わった」と思った。

泥水飲んで這いずり回るような人生を送ってきた。

いやいや入った高校でも大学でも、逃げ込んだ先でもひたすらいじめにあった。


一部の人間には、私さえいなければ、と、私を矯正、ただそうと努力を重ね、無駄な努力に終わるのは私のせいだと、ここでも罵倒された。


逃げ場なんてどこにもない。


避難先なんてどこにもない。


一度転落したら、緋文字みたいに消えないんだ。


私は、この文章を書き終える。

5分程度で一気に書き上げた文章のおわりを、自分で決める。


さらば、人生。

君たちにはもううんざりだ。


君たちがつくりあげ、勝手に想像しふくらんだ妄想はどこかに消えた。


どうかそのまま、妄想したまま眠れ。

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さよなら、君たちの妄想を元に作り上げられたわたしよ 荒川 麻衣 @arakawamai

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