ファンタジー
炎々と燃え盛る為には何に火を灯すべきか
“今”が
国と国が
その時代に
真夜中であるため
この闘技場には
明日
気持ちを落ち着かせる為に――
男は、ある国で
どの国でも奴隷制度があり、
いつか己の身に降りかかもしれないと心の
この闘技場で
もしかしたら、ついでに剣の腕前を買われて、また傭兵や
名前を売るにはうってつけの場であり、結果を残してきた。
一戦目‥雇われていた国の兵士との殺し合い。
ついこの間まで同じ釜の飯を食って、肩を並べて戦う仲間ではあったが、奴隷となり闘技場で剣を向け合えば、
ここで生き残ることが正義なのだから。
三戦目‥
七戦目‥
片腕を失っていたとはいえ剣術の
もし片腕が健在で、あちらの武器(剣)が最後まで折れずにいたのなら、ここには居なかっただろう。
九戦目‥十人の若者達との
奴隷になりたての
見せしめの為に組まれた
若者たちは取るに足らない技量しかなく、一人を斬り殺したあとは及び腰になっては、一方的な
様々な
そして夜が明けて、太陽が一番高い位置に座した時に、十戦目が始まる。
最後の死合いは九戦目のように後味が悪くても楽な戦いであって欲しいが、どんな戦いであれ、勝って生き残れれば良い。
勝って生き残れば、再び自由を手にするのだから。
「自由になれたら、生まれ故郷に戻るのも良いかもな‥‥」
男はそう
続けて顔を洗い気持ちを
闘技場の中央まで歩き、対戦相手を待っていると――
「
観客席で
声の主は、この国の王・プロレウス二世。
あまりにも想像だにしない状況に、男の思考は停止してしまう。
やがて、国の頂点にいる王と最底辺の奴隷の男が
同じ人間のはずだが、明確な違い‥‥差がある。
「そう、緊張するでない。この闘技場では身分など関係無い。男と男。戦士と戦士が名誉と誇り、そして命を
衛兵の一人が持っていた剣を男の前の地に突き刺した。
「丸腰の相手をなぶるほど、余は
「‥‥一つ
「
「それを聞いて安心したよ!」
王殺しの悪名があれば傭兵としての株が上がるだろう。
また、王亡き後の国の行く末など知ったことではない。
見たところ王は一般的な成人男性の体格であり、上等な絹の服の開いた箇所から見える素肌は、とうてい鍛えられていない柔肌。
防具などを身に着けず、手にしているのは宝石や金で装飾されている
舐めているのか、それとも超絶な
(王がどのような実力があるにしても、あんな小枝ような
これまでの経験と勘で、
死合い開始の号令も無いまま、男は剣の柄を握り構えようとするが、非常に重く持ち上げられなかった。
「‥‥なんだ!?」
そもそも手に力が入らずに、
異変は
身体が重くなり、息をするのも苦しくなっていく。
「毒が回る頃合いだな」
王がポツリと、男だけに聴こえるように
「‥‥まさか、あの水に!?」
「ここまで勝ち残ったのは見事‥‥。いや、こうなるように
「仕向け‥‥どう、いう‥‥こと、だ‥」
毒の影響で舌が回らなくなり、発声すらままならない。
「王の
これまで組まれた死合いは男が勝ち残れるように取り
真意は先のプロレウス王の言う通り――凶悪で非情な強者の剣闘士を王が
「な、なにが、戦士の名誉と誇りの、戦いだあああああッッッ!!?」
男は両の手で
「ガハッ!!」
振り下ろす間もなく、王の小剣の
男は口から血を吐き、力無く
「光栄に思うが良い。貴様がこれまで積み上げた
一方、名も残らぬ奴隷剣闘士に
-終-
和本STORYz 和本明子 @wamoto
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