第15話 父の意見

 「あまねぇー、ご飯やでぇ」

 一階のリビングルームから母の声が聞こえてくる。あまねはリビングルームに向かった。


 今日の夕飯はチャーハンと唐揚げだ。

 「めっちゃ中華やな」とあまねは言った。今日はあまねと母、父、3人での夕食だった。兄は今日もバイトだ。市内の飲食店でバイトしている。


 あまねは今日のデートの内容を話した。

 「野球観に行って良かったわ」

 「相手の男の子はどんな子なん?」母が言う。父は黙っていた。

 「顔はかっこいいけど性格がちょっとなあ」

 「性格アカンの?」

 「アカンっていうか変やねん」

 「変わった子なんや」

 「うん。病気やねん」

 母はえっという顔をした。

 「なんの病気なん?」母が言った。

 「統合失調症っていう病気らしい」あまねはレンゲを持ちながら言った。

 「えっ、その子大丈夫なん?統合失調症って心の病気やん」

 「うん。そうやねん。病気の話はあまりせえへんのやけど、話してる限りでは大丈夫そうと思う。症状もなさそう」

 「その子、可哀想な子やなあ」母がポツリと言った。すると父がおもむろに口を開いた。

 「あまね、その子はやめときや。あまり近づかんほうがいい」

 なんでそんなこと言うんだろう。あまねは少し不快な気分になった。

 「別に普通やで、その先輩」

 「いや、統合失調症ってのは大変な病気なんや。あまねはあまりその子に関わらんほうがええ」

 「なんでそんなこと言うの?」

 「あまねのためやと思ってんねん」

 「でも、三四郎さんはええ人やねん」

 父はそれっきり黙ってしまった。

 母が苦笑いを浮かべていた。

 「若いっていいなあ」母が呑気に言った。

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