第11話 オリックスバファローズ

 いつの間にか梅雨の時期になっていた。


 あまねは深緑色の廊下をスタスタと歩いていた。あまねは最近の自分を振り返っていた。


 あまねはもう臭いといじめられなくなった。

 クラスでも友達と会話するようになった。 三四郎とはあいかわらず図書室であったりしていた。ふたりとも連絡をとって故意に図書室で会っていたわけではないが、なんとなく図書室に行けば三四郎がいると言う感じだった。図書室では三四郎と他愛もない話にふけった。なぜか三四郎はもう病気の話はしなくなっていた。三四郎と話しているうちに彼がオリックスバファローズのファンだということがわかった。あまねはプロ野球には詳しくなかったがオリックスという名前は知っていた。なぜなら家族で何回か京セラドームに試合を観に行ったことがあるからだ。あまねの父親はソフトバンクホークスのファンだったのでよくソフトバンクが大阪を本拠地としているオリックスと試合をするときによく京セラドームに観に行った。昔はソフトバンクも南海ホークスという名で大阪を本拠地にしていたらしい。父親は南海ホークスのファンだったのでそのままソフトバンクホークスのファンになったらしい。


 いつの日か、あまねは三四郎に「今度オリックスの試合を観に行こう」と言われた。たしか梅雨が始まる前のことである。


 あまねは「わかりました」と答えていた。


 あまねは少しドキドキしていた。プロ野球を観に行くのは三年ぶりだった。図書室へと続く廊下を歩きながら、あまねはそんなことを考えていた。

 

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