この展開は、何なの！？（とある受験生のつぶやき）

第５話 誤解！？

　彼女から『叔父さん』と呼ばれる男性は、咳が治まりテーブルのペットボトルのキャップを開け、ゴクゴクと飲んで一息ついた。

「それ、彼に持って来たの」

　彼女が少し膨れっ面をして言う。

『僕に』と言うのが嬉しい。

「ココのモノだから俺のなの。何でお前は『一緒に暮らそう』とか言ったの？　男子が聞いたら誤解をするだろう？」

　誤解？『一緒に暮らす』のは誤解なの？

「だって、説明を始めると長いでしょう？　時間が無いから結論だけ言ったの」

　彼女はこれが素なの？　学校とはイメージが違うけど。

「結論は間違ってないけど、経緯（いきさつ）があるだろう？　今日は時間あるよね？本人をココに連れて来たのだから。初めから説明しなさい、最初が大事だからな。学生気分でいるとダメだぞ」

　『叔父さん』と呼ばれる人の言うことは間違っていないけど、大学に入ってから学生になるわけで、まだ学生気分も知らないのですが。

「分かりました。最初から説明します」

　ソファーの隣に座り、こちらをジッと見て口を開く。

　顔が近いんですけど。

「始まりは２年前の文化祭に遡（さかのぼ）ります」

　２年前の文化祭？　１年の文化祭？

　彼女が勿体（もったい）ぶった口調で話を始める。

「１年の時、同じクラスだったよね？」

「覚えてる。２年で違うクラスになったけど」

「よく覚えてたね。エライ！」

　この子は僕のことをバカにしているの？

「でね、１年の文化祭で、何をやったか覚えてる？」

　忘れようにも忘れられない、青春の黒歴史。

　あのおかげで高校で親しい友達も作らずに、数少ない同中の連中としか今も話をしていないから。

「覚えてるよ。誰かが『映画を撮ろう』と提案してそれに決まり『何にする？』となって、シナリオを公募したけど結局、誰かが言い始めた『涼宮ハルヒの憂鬱』の中の『涼宮ハルヒの溜息』のパクリ映画を撮ったね」

「良く覚えてるねー、私は『ハルヒの映画』しか覚えていないよ。その時のことなの」

　その時のこと？　覚えているけど思い出したくない黒歴史。