第4話
数日後。
「Prolog」の三人とマネージャーの悠太は事務所の社長室に呼び出されていた。
有名な芸能人を輩出している割にそこまで大きい規模では無い「
しかし、基本的に事務所からデビューしている数少ない人からの推薦が必要なため妥当と言えるだろう。
社長室の中で社長の桜宮を待ちながら悠太はうーんと唸っていた。
「三人とも、本当に何もやらかしてない?」
「「「やらかしてないわ!」」」
悠太からの疑いの目に三人は声を揃えて叫んだ。
こういう時だけ息ぴったりなメンバーである。
「例えば……雅哉が仕事を遅刻とかドタキャンしたとか」
「いつもの事だな」
悠飛が真顔で返す。
雅哉は遅刻&ドタキャン魔であり、悠飛に怒られて反省しないところまでワンセットだ。
数百回はこのやり取りをやったと思われる。
「じゃあ、また悠飛が週刊誌に撮られたとか」
「冤罪なんだが?ていうか、またとか言うな」
確かに冤罪であるが、それは桜宮も分かっているためいつも勝手に処理している。
悠太も桜宮が処理していることは知っているため「だよね〜」と苦笑した。
そうなれば残るは一人だ。
「となると時雨、お前か?」
「違いますけど?」
ジロジロと自分を見る雅哉に時雨が即答する。
四人が呼び出された理由が分からずに考えていれば、ガチャリとドアが開いた。
部屋に入って来たのは三十代前半の穏やかそうな雰囲気をまとった男性、
この年齢にして事務所の敏腕社長を務めている。
そんな桜宮は特に深刻そうな様子もなくいつも通りニコニコと人好きのする笑みを浮かべていた。
「悠飛くん、雅哉くん、時雨ちゃん、悠太くんもお久しぶりだね」
「「「「お久しぶりです」」」」
それから四人それぞれ挨拶を交し、早速本題に入る。
最初に口を開いたのは悠太だ。
「桜宮さん、話というのは」
顔を強ばらせる悠太に桜宮はキョトンとしてアハハと笑いだした。
「そんな、解散とか三人がやらかした訳じゃないよ?」
「よかった」
ほっと胸を撫で下ろす悠太の横で時雨は肩をすくめる。
「まあ、うちの事務所の人たちは普段からやらかしまくってるからいろいろ基準がバグってそうだけど」
遠い目をする時雨に桜宮は苦笑した。
ちなみに、一番やらかしているのは時雨の兄であるため彼女の言葉は兄への嫌味的なものだが事務所の人たちがやらかしまくっているのは事実だ。
話が脱線しそうになったところで桜宮は咳払いをし、仕切り直す。
「まあ、それはともかく。君たちに伝えたいのはこれからの活動方針だよ」
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