第4話

「犯人がわかったですって? リアンさんのお姉さん。あなたが妹のまねごとをするのは勝手ですが、まさか本気で言っているんじゃないでしょうね? これだけ憲兵が調査しているのに、未だに手掛かりはつかめていないんですよ。証拠もないのに、あなたの話を聞いて、犯人が『はい、そうです。自分が犯人です』って言うとでも思っているのですか?」


「確かに、証拠はありません」


「ほら、それならいくらあなたの推理を聞いたところで、犯人が自白するわけないじゃないですか」


「いえ、それがそうでもないのです。証拠はありませんが、犯人に取引を持ち掛けます」


「取引? どういうことです? 犯人が、あなたとの取引に応じるとでも思っているのですか?」


「ええ、おそらくは。それに、正確に言えば、私というよりは、憲兵との取引です」


「はぁ、わかりましたよ。そこまで自信ありげに言うのなら、一応聞いてあげましょう。素人の推理なんて、期待はしていませんけどね」


「ありがとうございます。それでは、説明しましょう。私が犯人にたどり着いた推理を。そうですね、まずは犯人が誰かについてですが……」


 私は全員を順番に見ていきました。

 皆が私に視線を向けています。


「犯人は──」


 私は毒殺犯である人物を指しました。


「犯人はリアン、あなたです」


 私の言葉を聞いて、全員の視線が妹に集中しました。


「は……、はぁ!? 何を言っているの? お姉さま、冗談で言っているのね? どうせ、さっき私がお姉さまを犯人呼ばわりしたから、その仕返しなんでしょう?」


「いいえ、違います。これは、冗談ではありません。あなたが、お義姉さんを毒殺した犯人です」


「……ちょ、ちょっと待ってよ。いいわ、冗談じゃないということはわかった。でもね、お姉さま、証拠はあるの?」


「人の話を聞かない子ですねぇ。証拠はないと、さっき言ったでしょう?」


「馬鹿じゃないの? それなら、こんなの時間の無駄よ! お姉さまの話に付き合う理由なんてないわ!」


「まあまあ、そう言わずに。聞くだけ聞いてください。私の話を聞いたら、あなたもきっと罪を認める気になるでしょう。それとも、私の話を聞くのが怖いのですか?」


「怖くなんてないわ! わかった、そこまで言うなら聞いてあげる。でもね、話を聞いても絶対に罪は認めないわ。そもそも、私は犯人じゃないから」


「はいはい、そうやってとぼけていてください。では、犯人がリアンだと、どうして私がそう思ったのか、皆さんにご説明しましょう。きっかけは、とある違和感を感じたことです」

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