聖夜で見えたモノ

ディアさん

聖夜で見えたモノ

「……」


『あ、あの〜?』


「……」


『も、もしもーし?』


「ああ、聞こえてる。バッチリ聞こえてるよ」


「三角頭巾被った女の声ならなぁ!」


『ほっ、良かったぁ。聞こえてるみたいですねぇ』


「俺は聞きたくなかったがな」


###


冒頭から訳の分からない会話をしてすまなかった


俺はしがない物書き


基本的に社会に対する論説なんかを週刊誌で書かさせてもらってる


幽霊や怪異は基本信じない


信じれる物は俺がこの目で見た物だけだ


だから幽霊は絶対信じない、筈だったんだが……


###


「こうも目の前に居座られるとなぁ……」


『えへへ……』


「えへへじゃねえよ」


『す、すみません』


こいつは俺が近所の激安スーパーから帰ってくる時、いつの間にか付いてきていた……恐らく幽霊だ……多分


三角頭巾付けてて白い装束着てるし


「で、結局お前は何なんだ?」


『そ、それが分からなくて……』


「わ、分からないだと?」


『なんか、気が付いたらこんな格好してて……それで自分誰で、何をしていたのかも忘れちゃって……』


「それが何で俺の部屋に?もしかしてこれも分からないのか?」


『いえ、それは分かります』


「何だよ心配して損した」


『訳も分からずふらふらしていたらあなたを見つけて……それで、何かが、こう、ピキーン!って来て……取り憑いちゃったんだと思います……』


「直感で人に憑いて行くな!」


『はっ!言い得て妙!』


「うっせぇ!」


ドンドン ウルセェゾ!!!


『「す、すみません!」』


「チクショー……明日絶対何か言われる……」


『す、すみません』


「はあ、もういいや……」


「それで?お前はこれからどうすんだ?俺とクリスマスを楽しみたい訳じゃないだろ?」


『ク、クリスマス!そうだ!思い出しました!』


「な、何をだ!?」


『私、生前クリぼっちなんでした!』


「俺と同じかよぉ……」


『あ、あと、その、えっと、』


「何だ?何か思い出してもらわないと俺が困る」


『チ、チキンが食べたいです』


「あっそ」ムシャムシャ


『あああああああ!私に見せつけるかの様に美味しそうに食べてますぅぅぅ!』


「はーケ○タのチキンうまー」ムシャムシャ


『ううううぅぅぅううう』


「てかお前幽霊だろうから食べれないんじゃないのか?」


『いえ、さっきあなたに付いていく途中で袋に入ってたモンブランを食べれたので大丈夫です』


「は?」ガサゴソ


「うわー!まじで食われてるぅぅぅぅぅ!」


ドンドン ウッセェゾマジデ‼︎


「す、すみません!」


「く、くそー。モンブランの方が高かったのにいいいい」


『ざまあみろです』


「もう風呂入って寝る、おやすみ」


『え、私は?』


「知らん勝手にしてろ」


『うわーん!さっきはすみませんでしたああああ!どうか置いてくださいいいいい!できることなら何でもしますうううううう!』


「何でもって言ったって……お前何かできるの?」


『家事くらいなら……』


「じゃあもう良いよそれで。解決するまで家に居れば良い」


『わあい!ありがとうございます!』


「なんか疲れた……やっぱもう寝る」


『はい!お休みなさい!』


###


「ふっ、懐かしいな」


「クリスマスは、毎回あの年のを思い出すよ」


「なあ、


『そうですね、あなた』


「全く、あの日から大変だったよ。お前以外の幽霊は見つからないし、それらしい文献もなかったし、お前も幽霊なのに飢えるし、扱いは困るし、ていうか俺以外の人間から感知されない事以外人間だし」


『もう!数年前の事を引っ張り出さないでください!』


「ははっ!悪い悪い。でも、そんなお前が、いや、お前だからこそ、愛してるぞ」


『///もう』


「さ、今日はモンブランを二つ買ってある。食おうぜ?」


『はい!』


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聖夜で見えたモノ ディアさん @diavolos

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