転生先は森の中(1-4)

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 錬金術 特性/ランク1

 

 説明:【錬金術】とはさまざまな素材を組み合わせることで新たな素材やアイテムを作り出すことが可能とするスキルだ。他に【錬金術】を通して、できることは、【抽出】で物体の対象成分を取り出したり、【分解】で物体を構成する原質を取り外したり、【再構成】で物体を構成する成分を使って新しい物を作り出したり、【変形】で物体の形を変えたりすることまでもできる。

 

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 イノシシ型の魔物の解体を終え、僕は出発する前にスキルを再確認することにした。

 ──そして確認している中、まだ見ていないスキルがあることに気づいた。

 

 【錬金術】という名のスキルだ。

 

 表面上は普通の調合系のスキルみたいだが、記述を読んでそうではないということがわかった。

 

 試しに、何の変哲もない手頃な岩を拾い上げた。

 

 そして………

 

「【抽出】、アルミニウム」

 

 そう唱えると、岩がボロボロと崩れ、僕の手の中にはアルミニウムの塊が残った。

 

 これが【抽出】。

 【錬金術】スキルの一種である。

 

 記述により、物体から狙った成分だけを取り出すスキルだ。

 

 なぜ、アルミニウムが岩の成分の一部だとわかった?

 それはもうひとつの僕のスキルである鑑定のおかけなのだ。

 

 鑑定のレベルを上げたからか、物を構成する成分が見えるようになった。

 めっちゃくっちゃ【錬金術】と相性のいい効果だが、それを置いていて、さっき拾った岩の主成分は酸化アルミニウムだからアルミニウムを取り出せたって訳だ。

 

 【抽出】の他に、【錬金術】に関連するスキルは数種がある。

 

 それらのスキルは【分解】、【再構成】、【変形】、そして【錬成】だ。

 【抽出】を含めてスキルは5つある。

 

 そしてそれらの5つのスキルには、どうやらそれぞれの効果があるようだ。

 

 もしかして、僕が持っているスキルの中でこれが一番強いのか?

 汎用性が半端ないだけでなく魔力消費量も割と少なめ。

 

 それに、僕の弓術と相性が笑えないほどよすぎなんだ。

 単に矢先に猛毒薬とか麻痺薬を塗れば可能性が幅広くなるし。

 

 正直に言ってポーションの1個か2個ぐらいは作ってみたいものだが、残念ながら素材がない。

 とはいえ、森の中にいるから別に集めても問題ではないが。

 

 しかし狩りの合間にしなくちゃいけないよな。

 

 僕はもう決めた。

 いずれこの森を出る、と。

 

 その時に備えて、あらかじめ魔石を集めたいんだ。

 

 そして僕が知る限り、魔石を集める唯一の方法は魔物を狩ること。

 魔石の記述により、ギルドで売ればお金がもらえる。

 

 要は魔石をたくさん手に入れてから森を出る。

 そして出たら、一番近い街のギルドで売って、お金を貰う。

 

──まあ、せっかくだからついでに冒険者登録もしようかな。

 お金は有限な資源だから当然、安定した収入源が必要となるね。

 

 別に、普通の仕事をしてお金を稼ぐのも手のひとつなんだけど、さすがにその生き方はマジでつまんねぇな。

 冒険者になって異世界に召喚された異界者のように人生を楽しむ。

 それがいまの僕の目的だ。

 

 ちゃんと満喫しなけりゃ損してしまうから。

 

「よし。そろそろ行こうか」

 

 そう決めると、僕は立ち上がる。

 そうすると欠伸をしながら伸びをする。

 

 それを終え、魔物がいるかどうか確認するために【索敵】を発動。

──最後に使っていたのは数時間前。

 

 より正確に、スキルポイントを5個使って【索敵】の察知範囲を広げる前のことだ。

 そのレベルを上げる前に【索敵】の察知範囲はたった1キロメートルしかなかったが、上げた際にその1キロメートルがなんと一気に10キロメートルまで上がった。

 

 それはつまり?

──つまり僕の感覚から逃れる者はいなくなったってことだ。

 

「魔物はあっちか」

 

 しかしあえて、僕の1番近くにいる、しかもけっこう弱そうな魔物を最初に狩ることにしたのだ。

 

 しかたないだろ。

 時間を考えればな。

 

 むしろこんな近くにいてくれてありがとうよ、魔物さん。

 お前がいなけりゃ生きてらんねぇ。

 

 …………という冗談はさておき、【索敵】を使いつつ、僕は魔物のいる方向へと歩き出す。

 

 どんな魔物かな?

 残念なことに、【索敵】のレベルを5まで上げていても、まだ魔物の正体を教えてくれない。

 これ、レベルをMAXまであげないとダメなやつかな。

 

 と、そんなことを考えながらどんどん魔物との距離を縮めていくのであった。

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