転生先は森の中(1-3)

 名:マティアス

 種族:森上妖精(ハイエルフ)

 職業:未定

 冒険者ランク:未知

 レベル:2

 HP:55/55

 MP:500/500

 筋力:15〈+5〉

 耐久:10〈+5〉

 敏捷:25〈+5〉

 知能:30〈+5〉

 器用:25〈+5〉

 幸運:20〈+5〉

 《スキル》

 ブレードスキル:≪現在、ブレードスキルは取得していません≫

 ショットスキル:〖弓術 Ⅱ〗〖狙撃:Lv1〗〖オーバードロー:Lv1〗〖パライズショット:Lv1〗〖鷲の目:Lv1〗

 魔術スキル:〖魔法全属性操作〗〖治療:Lv1〗〖光:Lv1〗〖精霊の魔法:風〗

 特性スキル:〖錬金術:Lv1〗〖鑑定:Lv1〗〖索敵:Lv1〗

 パッシブスキル:〖体力自動回復〗〖魔力自動回復〗〖異世界言語完全習得〗〖アイテムボックス〗

 称号:〖はじめての討伐〗

 STP:10

 SKP:10

 

 

 

 【器用】をあげることによって弓矢の攻撃力と命中率が増加する。

 これは世界各地のゲーマー達にとっては常識だ。

 

 もちろん、もうちょっとでも攻撃力を上げたいのならば、別に【筋力】にSTPを入れても大丈夫だが、弓矢は主に【器用】の数値に頼る武器だ。

 

 それはすなわち、極限まで【器用】を振らないと、弓矢の最大火力を発揮することは無理だ。

 

 けれど、安心せよ。

 足りない分を付与魔法や他のスキルで簡単に補えるので。

 武器自体に付与をかけるのも可能なのだ。

 

 結局のところ、自分自身のプレイスタイル次第によるのさ。

 

 僕は前世でゲームをやっていたとき、主に回避能力と素早さを重視してキャラを作成していた。

 

 それはつまり、あんまり【HP】とか【筋力】とかにSTPを入れることはなくて、逆にできるだけ【敏捷】と【知能】と【器用】の3つのステータスを割り振っていたってわけなのだ。

 

 このプレイスタイルは身につけてきたもののため、今となっても恐らく変えることはないだろう。

 

 そのためにイノシシの討伐で貰った10個のSTP──〖ステータスポイント〗で、とりあえず【敏捷】と【器用】を等分に割り振ることにした。

 これで実数値で、【敏捷】も【器用】も30に上がった。

 

 まあでも、【はじめての討伐】の全ステータスに+5の補正が掛かかっているので、実は【敏捷】と【器用】の両方のステータスが35まで上がっていた。

 

 それはそうと、たったレベル2なのに20数値を超えているステータスは、しかも2つもあるってすごくない?

 ──そうでもないか。

 まあ、いいけど。

 

 ちなみに、イノシシの討伐で、実はSTPをもらったと同時にSKPというものも貰った。

 STPっていうのが〖ステータスポイント〗の略だったら、じゃあSKPっていうのは〖スキルポイント〗の略であっているかな。

 

 合計で10個も貰った。

 STPと同じ数だな。

 

 とまぁ、それを置いていて、この10個のSKPを使って何をあげればいいのか正直に言って迷う所だな。

 

 スキルは〖鑑定〗と〖索敵〗以外はあまり使っていない。

 そのうえで、〖体力自動回復〗と〖アイテムボックス〗と〖魔力自動回復〗と・・・あとは〖異世界言語完全習得〗と、新しく習得した〖はじめての討伐〗の4つのスキルは≪パッシブスキル≫に分類されているので、そもそもそのレベルを上げることはできない。

 

 ってことはやはり、〖鑑定〗と〖索敵〗のレベルをあげたほうがいいよな。

 今の時点では、どっちもレベルをMAXまで上げる必要がないので、ステータス振りでやったように等分に割り振るか。

 

 うん、そっちのほうが絶対いいだろうね。

 そう決めると〖鑑定〗と〖索敵〗ごとにSKPを5個入れたのだ。

 

 これでステータス振りとスキル上げは一旦終わったな。

 やっぱゲームっぽくて好きなんだよねぇ、僕、こういうのが。

 

 と、そんなことを考えつつ、ふと、〖アイテムボックス〗に仕舞われたイノシシ型の魔物の死体を思い出す。

 

 そういえばイノシシ型の魔物を倒してから1時間がもう経過したな。

 休憩もせずにずっと森を彷徨っていたのでさっぱり忘れちゃった。

 

 そろそろ休憩しましょうか?

 ついでにイノシシの解体もしようかな。

 

 ゲームとは違って、魔物を倒せばなんと、死体は消えない。

 そのために倒した魔物のドロップ品は自動的に手に入ることができないのだが、よく考えればドロップ品は倒した魔物そのものだ。

 

 ただ自分一人の手で頑張って戦ったもの(それは材料とか肉とか)を回収しないといけないだけだ。

 要するにそのものを手に入れるために、倒した魔物を解体しないといけないってわけなのだ。

 

 幸いなことに、〖この世界〗の僕は100年間この森で生活しているので、魔物を解体するぐらいは余裕にできる。

 

 もう洗礼されたって感じみたいだ。

 

 正直に言って、作業をより楽にする為に死体を木から吊るしたいのだけど、紐とかそんなものがないので出来ないのだ。

 

 まあでもそれはしかたない。

 このままで行くか。

 

 そう決めると【アイテムボックス】からイノシシの死体を取り出す。

 

 まずは血を抜くことだ。

 

 血抜きを十分に行うことが、品質の良い肉にするための必須条件なのだ。

 この血抜き処理をしっかりやらないと臭みが強い肉になってしまうのでかなり重要………いや、むしろとても重要なんだよな。

 

 首の付け根の下側の頸動脈を鉄のナイフで刺し、イノシシの死体から血を抜く。

 そのあとは【サモンウォーター】というとても便利な生活系魔法でイノシシの体表に付着した泥などを軽く洗い流す。

 

 これでやっと本番に入れるね。

 

 ナイフで腹側の表面だけを切る。

 内臓を傷つけないように、深く刃を入れなかった。

 

 そうすると胸から腹を切り開き、肋骨を広げる。

 そこからさらに肛門まで切り開いていく。

 

 その後は筋を切りながら内臓を取り出し始める。

 喉にある食道、動脈を切り離す際、リンパ腺が腫れている個体は感染症を持っている可能性があるので食えないが、こんだけの肉があればそりゃ別にいいんだ。

 

 ・・・と、そのまま解体を進めていくと、何かきらきらしたものが視界に入ってくる。

 〖この世界〗の僕の記憶によると、そのものは魔石だとわかる。

 

「これ、どんな魔石かな」

 

 そう、魔石を回収しつつ呟いた。

 

 さらに記憶を探ると、魔物によってとれる魔石が違うということがわかったのだ。

 強い魔物からいい魔石が、弱い魔物から粗悪な魔石がとれる。

 

 恐らくゲームみたいに、ギルドで魔石を交換したらお金が貰えるだろ。

 その金額はもちろん、魔物次第なんだけどな。

 

 つまりあれもできるかな。

 ゲームの中で、魔石を使えば魔道具と呼ばれる、特殊な魔法効果に付与されている道具が作れるんだ。

 

 魔石の品質によって魔道具がどこまで効くかもう決まっているのだが。

 

 この魔石で、どんな魔道具が作れるのかな。

 

 とりあえず、【鑑定】で価値を見出そうか。

 そう決めると、【鑑定】を発動する。

 

 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 魔石/いい

 説明:魔石は魔物の生命そのものだ。魔物によって大きさ、形、色が異なり、討伐証明の際に提示を要求されるもの。ギルドで売ればお金にもなるし、日常生活においても普通に使用されている。よって魔石には、いろいろの用途がある。

 

 これは〈デカいイノシシ(下位級)〉の魔石。

 価格:銀貨2枚で売れる。

 

 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 以上、魔石についての情報だった。

 

 ・・・なるほど。

 銀貨2枚で売れるか。

 

 ・・・ってことは、この世界の通貨って銀貨?

 

 わからん。

 

 〖今の世界〗の僕はずっとこの森にいるので、1度も他の人と話したことも、森以外の風景を見たこともない。

 当然、この世界の通貨なぞ知るわけもないんだ。

 

 まじで外の世界は1体どうなっているのだろう。

 と、そんなことをぼんやり考えながら、イノシシの解体を続けていくのであった。

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