懐かしいオモチャがありました。
とか言ってるうちにコロナが少し落ち着いた。本屋で見かけるあのピンクの背表紙。ちょっと思い出した、私もあの頃にしてはタイトル長かった。レビューとかでボコボコにされてた。
昔のあのケータイ小説界隈の狂った人間関係って何だったんだ。文字で殴りに来て、読んであげたんだから読み返すのが礼儀ですとか本当に何だったの。夢だったのかな。
今はとにかくタイトル長い。見渡す限りマンガも小説も長げえな。
目が追い付かない、まだ老眼は来てないんだよ、なのに読めないんだ、日本語なのに頭に入って来ないんだ、マジで異世界、異次元、最近の子って本当にすごい。
でも、なんだかんだで書く事はきっと好きなんだ。好きにしよう。
逆に楽しい、この流行りを知らない状態で書いてみよう。使い古された設定でいい、描きたい所まで書いて止めてもいい、素人なんだから好きに出来る。
あんなに踊らされたPVとかレビューとか感想って単語すら懐かしくて愛しい。もう関係ない、誰とも話さない、誰とも関わらない、好きな事しかしない。
とりあえず思い付いた話だけ書いてみる。書き出して千文字ぐらいで最後の台詞が決まった。終わりの映像が見えた。
これは完結出来るやつだ、昔の感覚が一瞬で甦る。
気ん持ちいいー。
散々言われたのは何だっけ?
読みやすさ? ムツカシイ字わツカワナイデクダサイって言われたな。はをわって書く方が難しいよ、そんなの知らん。もう自分が読める漢字なら使う。
ああ、改行も言われたな。ケータイ小説なんだから一文書いて丸を付けたら改行しろとか、長い台詞も改行入れろとか、知るか。そんなルールあったのか?
今の私は無敵と書いてエクスタシーと読むんだ、無法者だ、好きにする。
一気に三十万文字ぐらい書いてスッキリした。やっぱり下手になってる。けど、最後の台詞にたどり着くまでの道筋は見えてる。直しながら書きまくる。
メモとかしないから物語は私の頭にしかない、後は完結まで私が死なないようにするだけの簡単なお仕事だ。ただ自分の為に書きまくる。
ここでふと気付いた。もうちょい書きやすい所がありそうだ。何十万の文字を持ってカクヨムにたどり着いた。
新しく書くってポチッてしたら真っ白な画面がンパッと出るのが気持ちいい。
トップページが書籍化とか何か発売とかで埋まってるのもいい。どうせレビューとか新着は魔窟なんでしょ、チラッと見たけどそこは二十年ぐらいまだ同じ事やってるんでしょ。私はその輪から抜けた。面倒だ。
いっそポチッと開いたらこの真っ白なページに連れて来てくれてもいいぐらいだ。
さて、結構書いた。さて、どうする。
公開するだけで流れ出す物語。自分しか知らない物語。今書いてる主人公だったらどうするかな、とかイッちゃってる事も考えてみる。多分こうする。
「えい」
迷わずズラッと並ぶチェックボックスにチェックを入れて、公開というボタンを押した。
みたいな感じだろうな、多分やるだろうなアノ子なら、という謎の親心、謎の執着。あんなにバカにしてた自分のキャラクターを喋らせるやつ。
笑える、なんだこの感情。
これだけは昔と全然違う、こんな風に自分が作った人に思いを寄せるなんて事は無かった。
年取ったのかな、子育てで変わったのかな。
とにかく自分が結構気持ち悪く進化してるのは分かった。
そして図太くなった。すげえ楽なんだけど。
読んでくれた誰かが新しく何か書いた、感想を、レビューを、なんてバカバカしい。もう二度とやらん。
そういえば人のを読んで勉強しろって言ってるのもいたな。勉強するならプロの本を読むよって返したら、なんかやたらと怒られた。
今なら分かる。人のを、じゃなくて、アタクシが書いたケータイ小説を読んで勉強しなさいって私に言ってたんだわ。なんだそれ。
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