T テオドーラ(地政学的配置)
「テオドーラ! お前の様な性根の腐った女は婚約破棄だ! 金輪際この国から出て行け!」
「ほほほほほ」
高らかな笑い声に婚約破棄を告げた王子はたじろぐ。
「何をおっしゃる。私の性根が腐っていようといまいと、この婚約自体、国と国との取り決めではございませぬか。おや、それともそこのお嬢さんのせいかしら?」
扇で王子の傍らの少女をテオドーラは指す。
「そうだ。彼女こそこの国の女性として相応しい心の持ち主だ」
「然り。私は退きましょう。後悔なさらぬよう」
そしてまたホホホホ、と高らかな笑い声を立てて去って行った。
数年後、王子…… いや、もと王子は国境の森をさまよい逃げていた。
だが所詮柔な足。
裏切り者、と彼を探す国民によって見つかった。
「……俺が何をしたというんだ」
「貴方は本当に大馬鹿者だ。大国二つに挟まれた我が国で、守ってくれる大国の姫を突き返すなんてことをするから」
「あっさりと逆側の大国に攻め込まれ」
「我が国はとうとう滅んでしまった」
「さあ、その責めを負うがいい!」
ぐるりと自国の兵に囲まれ、一斉に串刺しにされ、空中に上げられる。
*
「本当に馬鹿な男」
ホホホホホ、と笑いながら望遠鏡で眺める女性の姿がそこにはあった。
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