U ウーリー(女側から持ち出す婚約破棄+BL)

「ウーリー…… あんたの様な弱虫なグズとはもうやっていけない。婚約破棄してやる!」


 幼なじみで親の決めた婚約者がある日僕の元に火のように猛り狂って言ってきた。


「ああそう。でもね、君の家はそもそも事業の関係でうちの子爵家と組みたかったんじゃないの?」

「うるさいわね! ウチのことなんてもうどうでもいいわ! 私は自由が欲しいの! 好きな人も居るのよ!」

「なるほどそれは好都合」


 え、と彼女は僕の言葉にぼかんとした。


「実は僕、恋人が居るんだ」

「だったらその人と結婚すればいいでしょ!」

「できないんだよ。相手は男だもの。学校時代からの付き合いでね」


 彼女の表情は固まったまま動かない。


「だから僕は君との婚約は続ける。結婚もするよ。だからそこで君は自由に愛人を作ればいいよ。子供も作っていいよ」


 そしてこう言い放つ。


「だいたい今の事業からウチが手を引いたら、君の家が路頭に迷うよ」

「……あんたがそんな奴とは思わなかったわよ」

「君は言い当ててたじゃない。グズだからね。今まで言わなくてごめん」


 くくく、と僕は笑った。

 奥の部屋には彼が居る。

 さあ楽しい日々が始まる。

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