僕らが公園で空を見上げた時

 僕らが公園で空を見上げた時、空には光の線で繋がれた無数の星々が浮かんでいた。

 電線で作られた黒い枠の中に、僕は望遠鏡を見た。人によってはこじつけというかもしれないけれど、所詮星座なんて見えたもんがちだ。

 隣でブランコに座っている、午前二時にも関わらず未だ制服を着た彼女は「見て見てアレ!」と既に見ている空を指さした。

「なんかさ!信号を伝達している時の脳に似ているね!」

 思考が停止する。死角から飛んできた感想に僕の脳が伝達を止めた。脳科学に関するドキュメンタリーでも見たのだろうか。

「もしここが誰かの脳の中だったら、ここは右脳かな、左脳かな?」

 どちらでもいい。もっとロマンチックにできないのか。満天の星空の下に若い男女が二人きり。女子高生が喜びそうな展開ではないか。

 空の光は不規則に瞬いている。丸まった埃がそれを遮ろうとするけれど、それは僕らの視力の妨げにすらならない。

「また午前二時に会いたいね」

「それは無理だよ」彼女は空ではなく僕を見上げていった。「私もうここにいないもの」

 ブランコがきぃきぃと音を立てた。

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