第216話 娘? (6)
僕が自身の脳裏で、色々な事、不満や愚痴、嘆いていると。
僕の考える、思う事が瞬時に理解ができる、家の奥様が、不満があると呟いたのだ。
それも、身動きとれない僕の事を見下ろし鬼、般若面のような恐ろしい形相で睨みつけてくるから。
「ご、ごめんね。エル……。申し訳ない。本当にごめんなさい。許してお願いだから」と。
僕はエルの事が大好き、惚れている。
それに、自分自身でも、エルには頭が上がらない、尻に敷かれているとわかる、実感できている僕だからね、エルに対して素直に謝罪をしたのだ。
「す、凄いね。エルさん。一君を睨みつけ、一言告げるだけで。一君が謝罪をしてくるけぇ。エルさんてぇ本当に凄い。凄いねぇ。うちも見習わんにゃぁいけんねぇ。うんうん……」と。
いつになったら解いてもらえるのかわからない。
魔法、金縛り状態でいる僕に対して美紀の奴がまた一言余計な事、言葉を漏らしながら首肯、頷くから。
僕は美紀の様子を凝視して憤怒。
「美紀ー! お前ぇっ! いい加減にせぇよぉっ! 俺とエルは誰のせいで喧嘩、不仲になったと思ちょるぅんじゃ!」
僕が美紀へと不満を漏らせば。
「うわぁっ。エルさん。また一君が怒った。怒ったけぇ。怖いよ。うちわぁ」と。
美紀の奴は、僕の怒声を聞き、また怯え、エルの後ろへと隠れ始めるのだ。
だから僕自身は、美紀の様子を見れば悔しい! 歯痒い!
それこそ?
美紀の頬へと往復ビンタを食らわせてやりたい衝動に駆られる程悔しいのだ。
と、言う事はない、ないのだよ。
だって僕の荒ぶれている気を和らげる言葉がね。
僕の脳裏に、今流れたような気がするのだ。
台詞の内容は、こんな感じなのだ。
「(美紀の子は、お前の子で間違いない。ないのだから。ちゃんとしてやってくれ俺達の娘のことを。このまま
こんな長い台詞が、今の今、僕の脳裏を掠めたような気がするのだ。
と、思えばね。
「一樹! 今私にも聞こえた。魔王の声が……」と。
エルが『うん』と、頷きながら教えてくれたから。
「そうなんじゃ」と。
僕はエルに呟き。
「エル、もう、わかったけぇ、美紀のことを怒らんけぇ、金縛り説いてくれんやぁ」と。
言葉を返した僕だった。
◇◇◇
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