第215話 娘? (5)

 僕の妻であるエルの後ろ、後方で、自身の身を隠している美紀の奴なのだが。


 この通り、ちゃっかりとしている、と言うか?



 美紀が産んだ子供、娘は、僕の子供なのだからと、妻的振る舞いで、家の両親の事を、今迄のような呼び方。


『おじさん』、『おばさん』ではなくて、『お父さん』、『お母さん』と呼ぶから。


 僕は更に不快感を募らせてしまうのだ。


 だって僕の両親の事を『お父さん』、『お母さん』と呼んでいい女性ひとは、エルだけだから。


 美紀の奴に、家の両親の事を『お父さん』、『お母さん』と、呼ばれると。


 僕は無性に腹立って致し方がない。


 それにさ? 僕の妻であるエルにしても、美紀が両親の事を『お父さん』、『お母さん』と呼んで、不快感が募ると言う事はないのだろうか?



 僕自身は、己の首を傾げたくなる衝動に駆られそうになるよ。


「……一樹、なるわよ。辺り前の事じゃない」



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