第198話 今嫁の愚痴(2)

「一樹って昔から、そんなにも女性関係が激しかったの? 美紀さん?」


 と、問いかけ。


 エルは美紀へと誤魔化そうと試みながらだ。


「……ん? ああ、そうねぇ。一樹先輩は、あの容姿でノリの方も良いし。口の方も大変に良く動いて面白からね。中学の時も女子達から大変に人気もあったの彼は……。それに未だに一樹先輩の事を好きだと思っている娘(こ)もいるんじゃないかぁ?」


 でも、元勇者な彼女、エルは、今の美紀の話し、説明を聞いて、彼女は聞くべきではなかったと思いながら。


『はぁ』と、自身の肩を落として落胆、気落ちを始めるのだ。


 こんな言葉を漏らしながら。


「そうなだぁ、一樹って、そう言うタイプの男性だったんだ。だから私に、今住んで居るアパートを出て、他所で一から生活を始めようと仕切りに告げてくるね」と。


 エルが嘆くように美紀へと告げれば。


「えっ! 嘘! そうなの? エルさん! あのひとここから! 地元から! 出て行くと言っているの⁉」と。


 美紀はエルの話しを聞き、自身の両目を大きく開け、驚きを隠せない顔を始めながら問うのだ。


 それも、一樹のことを『一樹先輩』ではなく、『あなた』と、元カノらしく気軽に呼ぶから。


 今の一樹の妻であるエルは、少々不機嫌極まり様子へと変わり。


「あ、あのひとって美紀さん……」と。


 エルは呻り声を漏らす。


 そして彼女は、不機嫌極まりない様子で。


「そう言えば、美紀さんってと、過去に交際をしていたのよね?」


 と、問いかけるのだ。


「うん。そうなの」と。


 美紀はエルの問いかけに対して、隠す事もしないで、素直に頷くのだ。


 彼女の横には、幼い娘がいるのに、お構いなしに。


 それもさ、今のエルの様子ではないが。


 美紀自身も両目、瞳を潤ませながら、エルに頷き言葉を返すから。




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