第193話 元勇者な奥様は、落胆します! (1)
〈ガチ、ガチ〉
「あれ? 可笑しい。可笑しいなぁ……?」と。
声を漏らしながら、自分と夫一樹との愛の巣……。
アパートのドアノブを握り、回しながら、扉を開こうと試みる、元勇者で伯爵令嬢、お嬢様だった、新妻さまエルなのだが。
自身の愛のマイルームは鍵がかかっている、締めているから。
アパートの室内へと入れないから。
「何で部屋に入れないのだろうか?」と。
エルは困惑をするのだが、直ぐに彼女は、ある事を思い出す。
そう、自身のマイルームへは、鍵と呼ばれる、言う物がないと入室できない事を思い出して、今度は彼女。
「どうしよう?」
と、呟くのだ。
でっ、その後、新妻エルさまは。
(一樹の許に、飛んで帰ろうかしら?)
と、思うのだが。
(……う~ん、今一樹の許へと戻れば、未だ収まりつかない私が、一樹へと不満を漏らし始めて、また言い争い。お仕事の邪魔をするようになるから。今は戻らない方が良いよね)と。
彼女は、この場に留まるのだ。
いけば良いのに、というか?
戻れば一樹は安心をするから、元勇者エルのような、飛べる麗しい女性は、飛んで主の方へと戻る方が。
この後の一樹。
仕事を終えた一樹の気落ち、落胆、絶望振りを凝視すれば。
エルは、ここは飛んで主の許へと帰る方が得策──大騒ぎにならずに済んだ気もするが。
元勇者、将軍さまでもあるエルは気性難のじゃじゃ馬お嬢さまだから、やはり彼女が思う通りで、一樹の許へは戻らない方が良かったかも知れないね?
まあ、こんな事を思っていると。
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