第194話 元勇者な奥様は、落胆します! (2)

「あっ! そうだ! そういえば!」と。


 エルが自身の掌をポンと叩くのだよ。


 何かを閃いたかのように、だ。


 だからエルは閃いた言葉、台詞を口に出すのだ。


 こんな感じで、だ。


「そういえば? この山の麓には、一樹のお母様が住んでいた事をすっかり忘れていた」とね。


 でっ、その後は、「お母様のところで、一樹の帰りを待っていよう。そうしよう」と。


 エルは呟きながら、自身と一樹の愛の巣であるアパートの玄関先から移動を始めるのだった。



 第三十三話 元カノとの出逢い(1)



「あら、エルさん! エルさんだよね?」と。


 トコトコ、「ふぅ」と。


(一樹の里まで思ったよりも距離があるな)と。


 エルは思いながら。


 山道、坂道、下り坂、道路を下っていくのだ。


 でっ、下り終えれば、バスの通る、わりと大きな道へと着くと、道路を渡る。


 そう、彼女は道路を渡り切りる為に、左右をキョロキョロと確認──、確認をしていると。


 冒頭のシーンの通りだ。


 何処からともなく彼女、元勇者であり、魔王軍討伐隊の総司令官でもあったエルフな奥さま、エルさまの名を呼ぶ、叫ぶ、女性の声がするから。


 彼女は、更にキョロキョロと、辺りを見渡し始める。



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