第111話 その後? (5)

「ん? 何? 一樹?」


 相変わらず、僕の脳内を探索。この世界、この国、日本の知識を得ようとしようとしているのだと思われる。エル……。



 そう、自身の持つ小さな顔あるシャープな顎に、指を当てながら空──。天井を見詰めながら思案をしているように見える妻へと、僕は声をかけると直ぐに声が返ってきたので。


「あのさ、エル? ガスレンジやトースターの使用。扱い方はおいおい。徐々に覚えていけばいいからさ。今からお風呂に入ってきたら?」と、告げるのだ。


「ん? お風呂?」


 またまた僕のエルが可愛い顔。自分自身の首を傾げながら。僕に問いかけてきたのだ。


「えっ? エルは、お風呂を知らないの?」


 だから僕はこんな感じで、エルへと問いかけたのだ。少々僕人が困惑した表情だったと思うよ?



 だってエルが住んでいた星、世界には、【お風呂】が無いみたいだから。と、なれば? 我が家の奥さまは、幼少期から水浴びだけで、自身の身体を洗い。清めていたのかな?



 まあ、僕がこんなことを脳裏で思っていると。


「ああ、湯殿の事か……。湯殿の事なんだね。一樹……」と。


 エルが笑いながら僕へと告げてきたので、『湯殿?』って何? と、逆に僕が困惑しながらエルへと問いかけた。問いかけてしまったのだよ。





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