第110話 その後? (4)
あのさ? エル? 先程も僕のことを【魔王】と、呼んでいたけれど。僕はそんな架空の人物。マンガや童話、音楽の教科書に登場をするような人物ではない。ないのだよ。と、説明をしたい衝動に駆られるけれど。また話し、会話を夫婦で始めれば、口論、争い。夫婦喧嘩に発展する可能性もあるから。その件は取り敢えず置いておいてと。
「エル、それでも、今回は、僕が朝食を作るから。エルは僕がガスレンジを使う。……だけではなくて、トースターでパンを焼くのも見ていていてよ」と、告げた。
「……ん? トースター?」
エルは僕の【トースター】の言葉、単語を聞き、己の首を傾げながらだが、直ぐに悩んだ顔を。思案を始めだした顔へと移り変わり。少し間が空けば。
「へぇ~。この世界のパンは四角なのだね。一樹……。私が暮らしていた世界とは違うんだ……」と。
エルが少しばかり悩んだ顔で、言葉を漏らしてきたから。
「いいや、四角だけではなくて、色々な形のパンや菓子パンがあるから。エルの住んでいた世界のパンもあると思うよ」と。
僕はエルへと告げ説明をするのだ。
「ふぅ~ん、そうなんだ?」
「うん、そうだよ……」と。
未だ相変わらず悩んでいるエルに、僕は言葉を返すと「あっ?」と、自身の口から、思わず声が漏れる。あることを思い出したから。
だから「エル?」と、僕は妻に声をかける。
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