第109話 その後? (3)

 でも僕の妻は宇宙人、じゃないか? 異世界人? まあ。神さま、仏さま、精霊さまで、エルフの勇者だからね。


 自身の小さくて可愛い顔の中にあるシャープな顎へと華奢な指先を当てて、上を向き、考える女性(ひと)を始めだすのだ。大変に可愛くねぇ。もう、それこそ? 僕自身がまたエルの美しさ、可愛さに惹かれ、見詰め、沈黙に陥るぐらいの様子で思案を始めだすのだ。ほんの少しぐらいにね。


 そんな妻の、エルの、様子を僕は凝視しながら。『エルは、何を思案しているのだろうか?』と、思いながら見詰め続けていると。


「う~ん、大丈夫。大丈夫そう……。この世界の魔法器具、というか? ガスレンジだっけ? あれ、あの物の使い方、使用の仕方は、一樹の脳裏にある思い。思念を調べたから分った。分ったから大丈夫……。大丈夫だよ。一樹(ウフ)」と。


 エルは僕に微笑みながら告げてきた。教えてくれたのだ。この世界の家電製品の一つであるガスレンジが使用。使用し、使えることが可能だと。


 だから僕は、「えぇ、えええっ! うそ?」と、驚愕しながら言葉を漏らすのだ。


 そんな僕にエルは「うん」と、頷きながら。


「私と一樹は、完全に繋がっているから。一樹の、夫の想っている事は、私にはみな、全部わかるの、一樹。だから私以外の妃に好意を持ったら直ぐに分る。分るのだから。浮気……。自身の近くに、側女や妾、側室を囲うのも絶対に許さないからね。一樹~! あなたがいくら魔王だとしても。絶対に許さないし。女達は皆、全部私が排除、誅殺してやるから。覚悟をしておいてよ。一樹!」と。


 エルは僕に、最初は優しく、温和、緩やか。最後は荒々しくと、強弱をつける物言いで、僕へと告げてきたのだが。


 僕自身は、エル一人いれば十分、浮気もする気も本気でないからねと、僕が脳裏で素直に思えば、以心伝心でエル。僕の妻へと伝わる訳だから。


「そのかわりちゃんと私は、一樹に誠心誠意尽くすからね。他人の倍以上は……」と。


 嬉しそうに告げてきたから。


 僕自身も「うん」と、頷き。また自身の口を開くのだ。今度はこんな感じでね。




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