第101話 男の威厳って奴?(1)
〈ポン!〉
〈ポン! ポン!〉
〈ポンポンポン……〉と。
力のない音。打撃と打つ音しか聞こえてこない。
妻に、エルに、馬乗りをされている僕の両腕から抗う音はね。
それにくらべて、僕に馬乗り状態で、跨いで乗る。乗っかって、駄馬に騎乗をしている妻のエルはと言うと。
〈パチン!〉
〈パチン! パチン!〉
〈パチパチ! パチ!〉と。
心地良い音、ではないよね?
僕は妻に! エルに! 己の顔、両頬をリズム良く。小刻みに平手打ちをされる。されて喰らっている。無様な駄馬の状態だから。何とも情けないやら。悔しいやらで、己の両目、目尻に熱い物が込みあがってきそう。と、いうか? きている状態なのだ。
そう、今の僕の心境は、『父ちゃん、悔しくて、涙がでそう』、『もれそうだ』、『もれちゃった』状態に陥っているのだ。
だから僕は男泣き、「うっ、ううう……」と、嗚咽を漏らしながら。妻のエルへと抵抗を試みている。
まるで凌辱行為を受けている。少女や女性のようにね。
何だか、そんな立場になった女性達の気持ちが、今の僕にはわかる。理解ができる気がするよ。妻に馬乗り状態で頬を幾度、繰り返し平手打ちをされている僕にはね。
いくら僕自身が、己の腹部の下に、漢として! オスとしての証! 大事な物! 聖剣を携えていようとも元勇者……。
自分の星に帰る。UFOで帰還をすれば、その星、世界の一の英雄! 武力と知力、力を持つ妻……。
僕のエルには、僕が男! 漢! オス! であろうとも敵わないのか? と、いうよりも。全然僕は妻に敵わない。敵わないようなのだ。
だから今後も……。
そう、僕とエルとの夫婦での生活、余生も。今後は、家の大黒柱、主の座を全部、元勇者の妻、エルに差し出して僕は、妻の性奴隷、おもちゃとして生きる。生きるしかないのだろうか? と、愚痴や不満、嘆いている場合ではないのだ。ないのだよ。
僕とエルとの今後の仲慎ましい夫婦としての未来は、もう既に終焉……。終わりを告げかけていることを、僕は忘れていた。いたよ。僕の妻、エルが、二人の愛の結晶である。新たな魂を追い。自らの命を絶つ! 絶つのだと! 狂乱をしているから僕は妻を、エルを、取り押さえ、気を落ち着かせ、和らげようとするために何故か? 必死で抵抗、抗っている状態だった。だったのだから。
僕はここで、己の決意を諦め、抗い。抵抗をする行為をやめる。止める訳にはいかない。何としても、狂乱、錯乱をしている妻を止める! 止めるのだ! 己の命が絶えようともね……。と、言う訳にはいかない。いかないよね。僕自身がさ?
だってさ、僕がまた他界、天国、黄泉平良坂へと向かえば、僕の元勇者な妻が、蘇生魔法を使用して。僕をあの世から連れ戻すイコール。また僕達の【愛の結晶】が消えて亡くなることになるから。
エルではないが? 僕自身も辛い。辛くなるので、何とか己の命を守りつつ、妻に! エルに! 対して抗う。抵抗を試みることにする。と、いっても?
僕の力と勢いも無い【ロボ〇ンパンチ】では、妻の暴挙を止めることは出来ない。出来ないでいるから。
『ハァ~』と、溜息が漏れそうなのと。僕自身が悔しくて、悔しくて、「うっ、ううう……」と、涙が嗚咽が止まらない。
まあ、そんな僕にエルはね?
「一樹~! いい加減にしなさいよ! あなたぁあああっ! あんたはぁあああっ!」と。
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