第83話 勇者の気落ち、落胆。涙(4)

「うぅん、うぅん」


 でも僕のエルはこの通りだ。


 畳の上で泣き崩れていた頭を上げ、自身の頭をふりつつ、夫の僕は悪くはないのだと。


 エルは無言で告げてくれたのだが。


 それでも悪いのは僕──。


 エルが悪い訳では無い。


 だって僕が宇宙人さんだと思っていたエルに対して一目惚をし、邪な想いと感情を募らせつつ介護と言う名の猥褻行為をしたのが原因……。


 それでエルが憤怒!


 僕に対して怒りをあらわにしながら襲い!


 僕はそれで他界──。


 あの世へと、俺は死んでしまった~! と向かった。


 だからエルが、夫の僕のことを生き返らせる。


 そう、聖騎士の女性しか仕様できないらしい蘇生魔法リザレックションを使用! 発動させ!


 エルの体内に宿ったばかりの新たな魂……。


 そう、僕とエルとの最初の子になる予定だった魂が。


 骸になっている父親の僕を助けるために、自らの魂を犠牲にした訳だから。


 やはり悪いのはエルではない。


 不埒な僕が全部悪いと思うから。

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