第59話 誤解?(5)
当の本人である陛下の方は?
自分は魔王ではないし、私の寝込みを襲い、乙女の純血を奪ってはいなし。そんな記憶はないのだと魔王は私へと先程から。
『嫌だ!』、
『俺の事を離せ!』、
『俺の事を助けてくれ!』と。
まあ、魔王が大袈裟に叫び、抗ってはくるのだが。
魔王の様子を傍から他人が見ても分かる通りで。このひとは先程から妃である私に対して、夫として只ジャレ甘えているようにしか見えない様子で振る舞っているのが明らかに分る通りだから。
私は、勇者としての自分と、魔王の妃としての、自分自身との狭間で、今後どうするべきかを思案して困惑している。
だから私は魔王の背後から、首を閉めつつ──。
(うぎゃ、あああっ! うぎゃ、あああっ! うわぁあああっ! くそー! 歯痒い。歯痒いよ、ではなく。うぅ、うううっ。恥ずかしい。恥ずかしいよー! 私は昨晩なのか? 早朝の出来事なのかは? 私もわからない? 知らない。だから理解が全くできないでいるけれど? 私は勇者なのに、この男の、じゃなく。陛下の慰め物にされただけで捨てられてしまうよ。じゃなかった! 私は人種の勇者なのだから。このまま陛下の首を絞め落とし。今度こそ殺してしまわないといけないのに。私の両腕にこれ以上力が入らないのと。私陛下に乳房の谷間で甘え、抗われると。何だか変な気分に陥ってきたよー! これって、一体何―? 何なのー?)
まあ、実は私は、こんな感じで先程から自身の脳内で不満を漏らし、嘆き、変な気分に……。
そう、陛下の子供が欲しくなってきたような気分とでも、言えば良いのでしょうか?
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