第58話 誤解?(4)

 それに今だってこの男? 魔王の奴は、自身の頭の後ろの部分……。後頭部と言う物を、私のわりと立派な乳房の間──。


 まあ、胸の谷間と言う奴に挟んではスリスリと擦り堪能……。



 そう、この男はさり気なく妃である私に甘え、胸の柔らかさを、堪能をしている癖に。こんな言い訳を漏らしてくる。


「君―! 違う! 違うんだよ! 誤解だよ! 信じてよ! お願いだから」とね。


 この私に対して、何度も言い訳ばかりをしてきては素知らぬ振りを続けるのだ。


 それに陛下は昨晩──。勇者である私と剣を交えた癖に。自分自身は魔王ではない。誤解だとまで告げてくる。


 私が生死を賭けた争いをした敵の魔力……。



 そう、いくら陛下が、昨晩のような魔物のすがたではなく。可愛らしい人の姿へと変貌していようとも。私は陛下の魔力の波動の方もちゃんと覚えているのと。彼の匂……。


 私は陛下の体臭の香りも覚えているから。いくら陛下が、自分は魔王でなない! と誤魔化し、隠し続けようにも。


 私自身も完全な人種ではなく。半分が精霊種のエルフの血を引く女性だから忘れたり、間違えたりする事はない。


 それにコイツが! じゃなかった。


 そう、陛下は昨晩私と剣を交え、剣戟を繰り返す中で、勇者である私が女だと陛下は分かると。私の顔を見て、『クスッ』と嘲笑い。


『今日から勇者は俺の物だ。所有物だからな。傀儡してやる!』と。


 私が昨晩聞いて、自身の首を傾げる事を告げ告白されたって?


 あれ? 私良く思案をしてみると。陛下に愛の告白、婚姻の告白も、昨晩済んでいるじゃない。


 今思い出しました。


 それに私の身体の中に、物的証拠が……。



 そう、私の体内には未だ、魔王の魔力を含んだ子種が残っているから間違いはないのに。



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