第57話 誤解?(3)

 まあ、この男はぬけぬけとしらおきりおって、本当にどうしようもない男だな……。元勇者の私が、この男の側について、一から教育してやらねばいかぬような男ではないか……。本当にこんな情けない男が、亜人族を束ねる皇帝なのか?)


 私は、自身の乙女! 純血を奪い。種付けまでしている癖に。


 この後に及んでも言い訳をしてくる魔王に対して……。


 そう私の乙女! 純情を奪った!


 それも獣化した魔王が、力づくと言う奴で男らしく。勇者の私から乙女の純血を奪い! 己の物!


 まあ、妃にしたのならば未だ良い。


 私自身も敗退者になる訳だから致し方がないと諦めるよ。


 私の産まれ育った国の古い書物の色恋物語のように、勇者が魔王に負けた! 敗退をした!


 でッ、その後……。健気な女性勇者や騎士は、魔王から強引な凌辱行為を受け、され、肉人形にされ続けているうちに彼……。


 本来の敵である魔王に対して、女性としての情が入り、本当の恋に目覚め! 魔王の力強さと強靭な肉体……。


 まあ、腰使いと言う奴に溺れるらしい。


 まあ、私には、未だ良く解らない事だけれど。


 その後女性勇者、騎士は、敵である魔王の子を宿して、実は生涯仲慎ましく暮らしていく恋色物語なのだが。


 私自身も、そんな淡い恋の出来事ならば致し方がない事だと諦め。


 その後、自身の主である魔王に可愛がってもらうために女性らしく。身心共に尽くし奉公をしよう。


 まあ、続けようと心に決め! 魔王へと平伏──!


『あなた様の事をお慕いしています』と、告げるのだが。


 でも私の陛下は、物語の魔王のように力強くはなく。大変に弱々しく、情けない様子でね。


 先程から妃である私に言い訳ばかりをしては、自身が犯した罪を否定し続けてくる。


 私が睡眠! 熟睡をしている最中に。私の乙女の純血を強引に奪い、種付けまでして、己の物にした卑怯千万な男の癖にだぁ。



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