第56話 誤解?(2)

「いやぁ、俺はぁ。そんな事はない。そんなことはなしないよ」、

「俺は君を捨てるような事はしない。しないからぇ、本当だから。と、言うよりも? 俺は君をおもちゃにすると言うか? 俺は君に対して疚しい事等何もしていない! していないからぁ。本当だからぁ。君の何かしら誤解だよ。信じてくれよ」と。


 まあ、この男は、この後に及んでも未だ、こんな言い訳……。嘘偽りの言葉を魔王は、勇者である私へと平然と告げてくるのと。更に奴! 魔王の奴は! 私に対して、こんな命乞いまで含みながら絶叫を放ってくる。


「だから君―! 俺の事を助けてくれー! お願い! お願いだからー! 頼むからー! 俺の首! 喉元へと入り、絞めている。君の二の腕を緩ませ、離し。俺の事を解放をしてくれ! お願いだからー!」とね。


 でも魔王の奴の私への嘆願! 命乞いは! これだけでは収まらないから。


「君は何か、俺のことを誤解―! 誤解をしているようだけれど。俺は君が不快感を募らせ憤怒している行為……。そう寝ている君の事を俺が襲い凌辱……。自分の物にするような悪しき事は一切していないのと。君は、先程から俺の事を魔王と呼んでいるけれど。俺は、そんな訳の解らない苗字ではない。だから全部君の誤解だから。俺の首に入っている君の二の腕を離し。俺の事を解放して欲しい。お願いだから。頼むよ、君。お願いだから」と。

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