第55話 誤解?(1)

「まっ、魔王めぇえええ~! し、死ねぇえええ~。し、死んでしまえぇえええ~」と。


「この裏切り者~。浮気者~。この人で無しがぁあああ~!」と、私は吠えてみたけれど。


 この人は、人間ではなく。魔族! 亜人の王だった!


 その事を私はすっかりと忘れていた! まあ、忘れていたよと。私は思いながら。


 ギュ~! ギュと、自身の二の腕に力を入れ──!


 そして私の口から更に。


「死ねぇえええ~。死ねぇえええ~。死んでしまえ、魔王! 勇者である私を性玩具おもちゃにするだけして。貪り飽きたからと。とっと違う妃を見つけ! 私の事を捨てるのだろう。魔王~! お前は~?」、


「だからお前は~、ろくでなしだぁ~! この浮気者~。くそ男がぁ~。自身の種付けだけしたら。もう私など用済み、用無し。とっとと捨ててぇ~! 私以外の女~! メスの許へと、お前はぁ~。とっとと置き去りにしていくのかぁ~? 魔王~? 妃である私を捨ててぇえええっ!」と。


 私は魔王へと罵声を吐き、叫ぶ──。


 私は魔王! 浮気者の夫の事を許す気はさらさらないから。


 私は魔王の首をグイグイ! と更に、自身の二の腕に力を込め、絞めていく。


 と、なれば?


 魔王は完全な刹那状態へと陥るから。こんな台詞を漏らし始めるのだ。

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