第54話 エルフな勇者さまの苦悩?(3)

「陛下~、陛下~。起きて~、起きてくださいませ~」、


「陛下~、私と少しお話しをしましょう、と言うか? 陛下の私への言い訳……。そう、愛の告白……。結婚のプロポーズを、私は寛大で大変に尽くす、女ですから。ちゃんと陛下の言い訳を聞いてあげますから~。陛下、起きて~、起きてよ~」と。


 私は怨敵である魔王に対してではなく。


 愛する国王陛下の身体を優しく揺らしつつ甘え声音で呼びかけ起こし始める。


「むにゃ、むにゃ、宇宙人さん……。愛しているよ。僕と結婚してください。お願いします。むにゃむにゃ……」



「…………」



(うぅ、うううっ、やはりこいつ! 許せない!)、


(それも絶対に許す事など断じてできない!)、


(ここまで、王族の血も引く、高貴な勇者の私……。伯爵令嬢でもある私の事を侮り、蔑み、嘲笑い? した訳だから)、


(この男! 魔王の事は絶対に殺してやる! やるのだから!)、


(またこの男が、私以外の女の名を呼んだのだから。私という者がいるにも関わらずだぁ!)と。


 私は自身の脳内で呻り、吠える。


 だってこのひとが! 魔王が! また妃である私がいるにも関わらず。他の女性の名前……。



 そう魔王は寝言でまた、私でなく。


『宇宙人さん好きだ!』


『愛している!』


『結婚をしてくれ!』と寝言で、二度目の愛の告白、プロポーズと呼ばれる物をしたのだ。


 だから私の今後の決意! 行動は完全に決まった!


 そう、私は! 妃である私を捨てたこの男を殺してやる!


 それもバラバラに身体を引き裂き! モンスター達の餌にしてやるのだと、亜人族女王なった私は思い。己の決意を固める。


 だから私は自身の指をポキポキと鳴らしつつ。(魔王)この男をどう料理してやろうか? と、勇者エルは、自身の目を細めつつ、冷たく、薄ら笑いを浮かべながら思うのだった。



 ◇◇◇

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