第60話 誤解?(6)

 だから私自身も先程から、自分の脳内で不満を漏らし、嘆くわりには。私の御自慢の胸の谷間で、さり気なく甘える陛下に対して、自分自身もさり気なく首筋へと接吻、甘噛み……。ついでに陛下の耳へも同じく優艶に甘え、じゃれている私がいるのです。


 そう私自身、陛下に対して嘆き、不満を漏らすわりには、ちゃんと妃をしている、自分自身もいるから、本当に情けなく悔しい想いがあるのと。

 私自身、陛下の事が好き、愛している自分もいるから。


 私自身は本当に困惑、動揺をしつつ、困って仕方がないのに。


 このひと!


 魔王は!


 お城の謁見の間にて私と対峙──争っている最中に。勇者である私に対して、接近した時に強引な……。



 そう、先程も私が少しばかり説明をしましたが。陛下は乙女だった私に対して、ウムも言わせない状態で強引に接吻迄してきた。


 そして婚姻の申し込みまでしてきた。


 まあ、してきた筈なのに。


 陛下はぁ~! 私のファーストキスや乙女の純情、純血を強引に奪い去っていながら。


『知らない!』、


『俺はした記憶も無い!』、


『俺は無実だぁあああっ!』、


『だからぁあああっ、貴女の全部勘違いだぁあああっ!』と。


 私の陛下はこの期に及んでも違うと告げてくる。


 私自身はこんなにも魔王……。陛下の事を妃として愛し、優艶にも甘えているにも関わらず、ですよ。


 それでも陛下は『知らぬ!』を続けてくるから、私は悔しいのと、歯痒い。


 私の陛下が余りにも男らしく、潔くない。



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